ブロックチェーン技術,FinTech
(写真=Thinkstock/Getty Images)

最近注目されているテクノロジーといえば、真っ先に思い浮かぶのがフィンテック(FinTech)だろう。金融の「Finance」と技術の「Technology」を組み合わせた米国発のこの造語。金融分野においては膨大な情報をいかに効率的かつ安全に処理するかが永遠の課題であり、そこにITの活躍余地が極めて大きいことを考えれば、フィンテックが金融業界のトレンドと重なり合っているのは半ば当然のことだ。

そうした中、頻繁に取り上げられるのが「ブロックチェーン」という技術だ。発展途上の分野であるだけに、その輪郭を正確に捉えることには困難が伴うが、少なくとも概要だけは押さえておく必要がある。

「中央集権型システム」と「分散型システム」

例えば「田中さんが鈴木さんに1万円貸した」とする。このことをきちんと記録しておくためには、田中さんが鈴木さんの銀行口座に1万円を振り込むのが最も確実だ。

鈴木さんの預金通帳には「田中さんからの振り込み1万円」と記帳されるからだ。けれども、もし肝心の銀行が天災やテロなどで消滅してしまった場合にはどうだろう。「銀行」という、信頼していた「中央集権型」の存在が消えてしまうことによって、預金通帳はただの紙切れと化し、「取引の記録」自体が信用を失ってしまうのだ。

一方「分散型システム」では、この取引記録は多くのコンピュータに「チェーンのように連鎖して」書き込まれる。「チェーンのように」とは、単に「データを共有している」のではなく、「もしデータが書き換えられた場合には、そのことがはっきりとわかる足跡が残る」仕組みになっていることを意味している。

田中さんが「貸したのは1万円ではなく、2万円だった」と懸命に主張してみたところで、多くのコンピュータが過去の取引をきちんと記録しており、「それは嘘だ」ということがたちどころに証明されてしまう。

「中央集権型システム」においては、絶対的な力を持っている銀行や大手カード会社などが「この取引は有効だ」と言えば、それが正しいことになる。一方「分散型システム」の場合には、取引の記録が方々に散らばっており、しかも過去の取引を改竄しようとしてもその証拠が明白に残ってしまうので、もはや「権威ある中央集権の主」は必要とされなくなる。

ブロックチェーン技術の持つ大きな可能性

取引の記録を一つのブロックをして、それをチェーン状に分散して保存するという「ブロックチェーン技術」は、膨大な費用をかけて「権威ある中央集権型システム」を構築するのに比べ、「改竄のできない取引記録システム」を驚くほど安価に実現する可能性を秘めている。

不動産や車などの所有権をブロックチェーン上で管理すれば、取引の履歴を誰もが確認できることになり、特定機関の手を煩わすことによって証拠を残したり、ハンコだらけの契約書を用意したりする必要がなくなるだろうし、投票結果をブロックチェーン上に残すシステムがあれば、一切の不正を排除した国民投票の仕組みを作ることもできる筈だ。

ブロックチェーン技術の課題と方向性

ところで「取引記録を多くのコンピュータに分散する」ということは、机上の理屈ではなるほどと納得できたとしても、実はそう簡単なことではない。取引が行われたという情報が隅々に行き渡るには、それ相応の時間がかかってしまう。もしその間に取引内容が書き換えられ、「偽の取引情報」がどんどん拡散していったとしても、「分岐した2つのブロックチェーン」ができるだけで、そのいずれが本来の情報であったのかが分からなくなる。

そうした状況を防ぐためには、「情報の分散先をあらかじめ選別しておく」とか、「分散している情報がが正しいものだと判断できるようになるまで、一定の時間を決めておく」とかいった方法が考えられる。前者は「プライベートブロックチェーン」と呼ばれ、例えば銀行のような「管理者」が分散先をあらかじめ選別しておくことにより、「取引記録」の正確性を確保しようとする。一方後者は「パブリックブロックチェーン」と呼ばれ、取引が行われてからの時間や内容をチェックする機関を用意するなど、「取引情報の確定」に一定の決まりを設ける。

無論冒頭にも述べた通り「ブロックチェーン技術」はまさに発展途上にあり、その方向性も単純に2通りに割り切れるものではない。むしろ「ブロックチェーン技術」をどう定義するのかさえも、まだまだ流動的な段階を脱さない。ただ、現在はまだ分離したままの「技術」と「実務」が、いずれ近い将来には具体的に交わらざるを得ず、その時に初めて「ブロックチェーン技術に携わる銘柄」の真価が問われることを忘れてはならない。

プライベートブロックチェーン関連銘柄

プライベートブロックチェーンの分野で最も広く知られているのが、 テックビューロ社 だ。同社の「mijin」は、取引処理の高速化に力点を置いている。ビットコインに代表されるパブリック型では、高性能サーバーからスマートフォンに至る様々なハードウエアの特徴に合わせて処理を最適化することが難しく、例えば現行のビットコインの取引処理量は1秒当たり6~7件ほどを想定しているという。

これに対して「mijin」では、分散先を許可制にすることによって悪意ある参加者を排除することにより、インターネット回線で接続した場合でも1秒当たり500の取引、専用の高速回線で接続した場合には1秒当たり数千の取引を扱えるとしている。テックビューロはこの「mijin」を2016年夏ごろにオープンソースとして公開する予定で、一定期間の使用権を有償で販売する「サブスクリプション契約」を収益源とする考えだ。

さくらインターネット <3778>

双日 <2768> 傘下のデータセンター大手の同社は、テックビューロ社が開発するプライベートブロックチェーンのクラウドサービスを、世界で初めて実用可能なレベルで一般に無料提供したことで知られる。ブロックチェーンの先駆けとして世界中から注目を集めるとともに、代表的なブロックチェーン関連銘柄としての地位を確立した。

ロックオン <3690>

インターネット広告の運用サポートサービスを提供している同社も、テックビューロ社のブロックチェーン技術をいち早く導入している。需要が高まり続けているEコマース事業において、ブロックチェーン技術が同社の主力であるEC-CUBEのコストを大幅にダウンさせることにより、さらに業績が向上することが期待できる。

SJI <2315>

同社は中国留学生が創業したシステムインテグレーターだが、中国事業での失敗から、現在はフィスコ <3807> 系のネクスグループ <6634> 傘下で経営を再建中だ。2016年1月12日にはテックビューロ社のブロックチェーン技術のフィンテック実証実験を開始したという特大ニュースを発表。金融分野でのシステム開発においては確かな実績を持つ同社だけに、最先端の技術であるブロックチェーンの応用に期待が集まっている。

ネクスグループ <6634>

ルーター、データカード等を開発・販売する同社は、子会社でネット旅行の「e-旅net」を運営している。上記SJIと資本業務提携を締結したことで、ブロックチェーン関連銘柄として急浮上した。端的に、「テックビューロ社、SJI社、ネクスグループ社が1セットでブロックチェーン事業に取組む」という捉え方をしても間違いとは言えない。

フィスコ <3807>

金融関連情報のネット提供を核に、M&Aによる事業多角化を図りつつある同社は、上記のSJIやネクスグループの親会社にあたる。子会社の飛躍的な成長が親会社の株価を大幅に上昇させた事例が少なくないことから見ても、ブロックチェーン関連銘柄として注視すべき銘柄の一つだ。

インフォテリア <3853>

企業向けのデータ連携ソフト「アステリア」が主力の同社は、日本初のXML専門ソフト開発会社だ。ブロックチェーン関連としては、テックビューロ社と同社の持つソフトウェアを連携させるための専用アダプタの開発を行っており、現在実証実験段階に入っているなど、確たる協業関係を築いて来た。また2016年4月からは、その商品化及び販売も開始されるという。

アイリッジ <3917>

スマホ位置情報連携サービスを展開する同社は、集客・販促の局面でネットと実店舗を連携させる「Online to Offline」、いわゆるO2O施策を支援している。テックビューロ社との事業提携による、ブロックチェーンを活用したスマホ向けアプリケーションの開発など、フィンテックとO2Oの融合への期待も多大だ。

パブリックブロックチェーン関連銘柄

プライベートブロックチェーンと対極をなすパブリックブロックチェーンの分野では、 Orb社 がその理念自体の構築に深くかかわっている。技術に秘められた可能性を今後の進展とともに評価する意味でも、以下の各銘柄の動きには注目しておきたい。

セレス <3696>

「モッピー」や「モバトク」、「お財布.com」などのスマホ向けポイントサイトを運営する同社は、広告収入を柱としている。2015年9月にOrb社の株式を第三者割当増資により取得したと発表、同年12月には一般社団法人のFinTech協会にも入会した。ビットコインを展開しているbitFlyer、coincheck、ビットバンクなどとも提携関係にあるなど、ブロックチェーンとフィンテックの融合に関して目が離せない銘柄だ。

リアルワールド <3691>

データ入力などの誰にでもできる仕事に対してポイントを付与するという「マイクロタスク型」のクラウドソーシングサービスでは国内最大級である同社の収益の柱は、ポイント付与サイト「Gendama」等の運営に見られるような、サイト広告だ。2015年12月にはbitFlyerとの業務提携を発表するなど、ビットコイン関連銘柄としても大きくスポットを浴びている。

アドウェイズ <2489>

ネットの成果報酬型広告、いわゆるアフリエイト広告では国内首位の同社は、海外広告配信網やSNSとの提携も強化している。Orb社へ出資を行っていることからも明らかなとおり、ブロックチェーン技術の発展は同社にも利益をもたらす訳で、関連銘柄として注目しておきたいところだ。(ZUU online 編集部)

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