(写真=PIXTA)
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中国の景気減速懸念と人民元の中心レート引き下げや、原油先物価格の下落などから、昨年末より、下落トレンドとなっていた米国株であるが、2月上旬より持ち直し、ダウ平均株価は1万6000ドル台後半で推移している。今回は、その米国株式市場の強気材料と弱気材料を明確にしつつ、その見通しを考えていきたい。

米国株式の強気材料

まず挙げたいのは、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定だ。金銭スキャンダルで日本のキーパーソンである担当大臣が辞任する事態となり、日本としては今後の動向が不安視されるが、2015年10月のアトランタ閣僚会合で合計12か国での経済連携協定に大筋合意したことから、アジア太平洋地域への輸出が期待され、強気材料となるだろう。

次に、個人消費の堅調さが挙げられる。米商務省が2月12日発表した1月小売売上高は、自動車、ガソリン、建材、外食を除いたコア売上高が0.6%増と、前月の0.3%減から大きく改善している。小売売上高も前月比0.2%増で、前月分も上方修正されるなど、景気回復が鮮明になっており、一部のエコノミストは第1四半期の国内総生産(GDP)伸び率の予想を引き上げている。

さらに、米労働省が2月5日に発表した雇用統計でも、非農業部門雇用者数は15万1000人増と、市場予想を下回ったものの、失業率は4.9%と2008年2月以来の水準まで低下しており、時間当たり賃金も0.5%上昇していた。移民国家で、基本的に人口増加傾向にあることを考えれば、住宅需要の増加など強気で見て良い部分となるはずだ。

米国株式の弱気材料

マイナス要因の筆頭は、原油安だろう。FRBが2月17日に発表した1月鉱工業生産指数は、市場予想を上回る0.9%の上昇だったものの、前月は0.7%低下となっており、それ以前も弱い数字が目立っていた。弱い理由として考えられるのは、設備投資が弱いためで、エネルギー関連の設備投資が減少しているからである。さらに、シェールガス革命により、ガソリンの小売価格の下落など車社会であることから恩恵もあるものの、アラブ諸国を中心とした産油国が減産をしないことで原油価格は下がっており、シェールオイルのコストの高さや、利益の低下から、エネルギー関連企業には、厳しい地合いが続いており、景気悪化要因となるはずだ。

もうひとつは、輸出だ。個人消費などの国内は堅調といえるものの、中国の景気減速は、大きな打撃を受けており、中国だけでなく、東南アジア諸国や南米などの景気も悪化していることから、今後も厳しい展開が想定される。さらに、ドル円相場については、年明けより、中国の景気減速懸念や、その影響を受けた、米国景気減速懸念から円買いの流れが続いているものの、昨年より、日欧が金融緩和政策を進める中で、金融引き締めである利上げ時期についての議論が続き、12月に利上げを行うなど、諸外国と金融政策に違いが表れていた。その結果、新興国から資金を引き揚げ、米国へ移す動きが顕著となったことで、新興国通貨売りドル買いの流れとなり、激しいドル高が発生したのである。輸出面では、ドル高はマイナスに作用することから、この傾向が続けば、輸出系企業業績に影響があることから、景気悪化要因となるだろう。

米国株式市場見通し

強気および弱気材料からも分かるように、米国経済は、全体としては回復基調にあると言えるものの、原油安とドル高がその回復を鈍化させている。さらに、中国や東南アジア、南米などの景気減速懸念が輸出などに影響を与える可能性がある。とは言うものの、景気減速懸念は行き過ぎているだろう。

イエレンFRB議長は、先日の議会公聴会で「米国経済には、金融政策の緩やかな引き締めに耐えられるだけの十分な力強さがある」と証言しており、逆説的言えば、雇用その他の指標で良好な結果が多く出たとしても、ハイペースで金融引き締めを行う可能性は低いだろう。現在想定されている利上げペースもしくは、より緩やかなペースでの利上げと考えるのが妥当である。だとすれば、米国株の調整は、昨年末からの下落でいったん終了し、緩やかな上昇局面(利上げがありつつも、米国経済の回復に伴う、株価の上昇)へと向かうと考えるのが自然である。

大統領選挙とアメリカ株価の関連

唯一気になる点を挙げるならば、大統領選挙の動向である。民主党は、クリントン氏が優勢であるものの、共和党は、トランプ氏が最有力候補となっている。不動産王としての顔も持つトランプ氏は、献金者からの政治的な影響を受けずに済むという点で他の候補より優れていると主張しており、不法移民の排除やウォール街への課税強化など過激な発言で低所得層の白人から熱狂的な支持を受けている。

「大統領選挙」はアメリカ株式の価格変動の大きな要因になることがありうる。現職の大統領が引き続き自分の政党から大統領を出そうという意図から、さまざまな景気浮揚策をとる傾向があるためだ。

実際、大統領選挙の前年には、アメリカ株式指数の代表的指標であるS&P500指数は、1950年以降年間で見ると必ず上昇しているという。データからも大統領選挙の実施が株式市場に影響を与えていることがうかがえる。

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