証券会社などで販売されている商品にEB債 (イービー債・Exchangeable Bond) というものがある。この商品で目を引くのが相対的に高い利率だ。低金利の昨今、魅力的な要素ではあるが、金利の高さの秘密が気になる人も多いだろう。この記事では、EB債の仕組みと買うときに確認したい点などを説明していく。

EB債とはどんな商品なのか

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(画像=PIXTA)

まず、EB債について説明する。EB債とは、他社株転換可能債券のことで、仕組債と呼ばれる複雑な金融商品の一つである。仕組債とは、債券にデリバティブ取引 (金融派生商品) を合わせたものの総称だ。デリバティブには、オプションやスワップ (金利の交換) と呼ばれている「仕組み」がある。

それではEB債にはどのような仕組みがあるのだろうか。EB債はそれぞれ対象となる株式が決められており、それらの株価変動によって、利率や償還金が変わってくる。高い利率を享受しつつ、無事に元本を回収できるケースがある一方、債券の発行者とは異なる会社の株式に転換されて、償還されることもある。その株式の株価によっては、投資元本を下回るリスクもある。

つまり、特定の株価の値動きによって、現金償還 (お金で払われる) か株式償還 (株式で支払われる) か変わってくる債券ということだ。

上記のようなリスクを背負う対価として、EB債は個人向け国債、社債などと比べると利率が高く設定されることが多い。

大企業の不祥事がEB債にも影響

2017年は大企業の不祥事や粉飾決算が相次いで明るみに出た。それに伴い、株価が急落したケースもあり、該当企業の株式を保有している投資家は気が気でなかっただろう。通常、債券保有者は、株式保有者ほどは株価を気にしないものだが、EB債は株式に転換される可能性を秘めているため、株価水準を注視しなくてはならない。

実際に、2017年に不祥事を起こした企業が対象のEB債が存在する。EB債が組成されたときは、もちろん不祥事が表にでていなかったので、そのEB債を購入した投資家は、基本的には株価の成り行きを見守るしかなかった。該当のEB債は、不祥事による株価急落でノックイン価格 (あらかじめ定められた水準) を下回ってしまった。ノックイン価格を下回った瞬間に元本割れが確定するわけではないものの、ある一定の水準まで株価が回復しないと元本割れが生じる恐れがある。

EB債を購入するときの確認事項

EB債を購入する前には、どのようなことを確認すればいいのだろうか。

まず、発行条件や償還条件を確認することだ。償還日や債券の利率、発行時の債券の価格などに加え、金銭で償還されるときの条件、その条件で償還される金額などだ。高い利率には、それ相応のリスクが眠っていると捉えておきたい。また、対象株式の終値が利率判定価格以上か以下によって大きく利率が変動することも抑えておこう。

次に、株式で償還される条件も確認しよう。その際、発行条件設定のときに基準となった対象株式の価格、株式で償還される条件が決まる価格なども確認する。対象企業の経営状態にも気を配っておきたい。もちろん上記のような不祥事は予見しようがないので、そのような個別企業の信用リスクを負うことにも注意が必要だ。

最後に、EB債自体の流動性についてだ。一般的にEB債の流動性は非常に低く、仮に売却できたとしても、売却価格は投資元本を大幅に下回る可能性がある。急に資金が必要となったときに困らないよう、余裕資金でEB債の運用を行いたい。

このようにEB債を購入する前には、債券の発行体と株式の発行体の両方を確認し、ノックイン条件を確認する必要があることがわかる。しかし、仮に株式で償還されたとしても、デフォルトした債券のように投資金額がまったく戻らないわけではない。投資金額を超えるマイナスが発生することもない。

日銀がゼロ金利政策を続ける以上、金利水準の大幅な上昇は見込みにくいので、相対的に高い利率を期待できるEB債は、資金の置き所のひとつとして検討したいところだ。背負うリスクを理解できれば、大切な資金を投じるに値するケースもあるだろう。(提供:大和ネクスト銀行


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