資産運用するときに、どのくらい利益(リターン)が得られるのか気にならない人はいないだろう。資産運用に限らず、利害の総和を分類したものがマイナスサムやゼロサム、プラスサムなどのゲーム分類である。この記事では、マイナスサムやゼロサム、プラスサムとは何かを解説し、それぞれどのような資産運用方法があるのかを説明する。

マイナスサム・ゼロサム・プラスサムとは

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(写真=PIXTA)

はじめに、サムゲームについて説明する。サムゲームの「ゲーム」とは、応用数学の中にあるゲーム理論のことである。利害の総和によってプラス、ゼロ、マイナスに分類する。プレーヤー全員の利益合計が、投資額に対してプラスになるときは「プラスサムゲーム」、プラスマイナスゼロになるときは「ゼロサムゲーム」、マイナスになるときは「マイナスサムゲーム」と言う。

マイナスサムゲームは、プレーヤーの投資金額の合計よりも換金額の合計が少ないゲームなので、平均するとプレーヤーは損をする。交渉などの場で双方が譲らずリソースを浪費したり、運営側が集めたお金からいくらかを抜いたりするケースが該当する。

ゼロサムゲームは、プレーヤーの合計投資額を分配するゲームなので、必ず勝つ人と負ける人が存在し、勝った人と負けた人の取り分を合計するとゼロになる。

プラスサムゲームは、プレーヤーの合計投資金額よりも還元額が大きいゲームなので、大きく勝つ人や大きく負ける人など濃淡はあるものの、平均すると全てのプレーヤーが勝つことになる。

資産運用におけるプラスサム・ゼロサム・マイナスサム

多くの人にとって、資産運用する目的は「資産を殖やすこと」だろう。その意味では、資産運用を行う場合、マイナスサムゲームよりゼロサムゲームの方が、ゼロサムゲームよりプラスサムゲームの方が優れていると言える。マイナスサムの場合は期待値がマイナス、ゼロサムの場合は期待値がゼロ、プラスサムの場合は期待値がプラスだからだ。ただ、これはあくまで期待値から考えた確率論であり、資産運用の方法や投資対象が何より大切であることは言うまでもない。

それでは、この3つのゲームにはどのようなものがあるのだろうか。なお分類する際の便宜上、いわゆるギャンブルと呼ばれるものも資産運用に含めることとする。

まずマイナスサムゲームだが、宝くじ、競馬、パチンコなどが挙げられる。これらに共通するのは胴元(運営側)が集めたお金から何割かを自分の懐に入れることだ。その金額はそれぞれ異なるが、いわゆる「還元率」が100%未満となるため、マイナスサムゲームに分類される。

次にゼロサムゲームだが、FXや仲間内の賭けごとなどが挙げられる。厳密に言えば、FXはFX会社の手数料(スプレッド)があるので、若干マイナスサムであるが、分類上はゼロサムゲームと言って差し支えないだろう。

最後にプラスサムゲームの資産運用としては、懸賞や買い物に伴うポイント、株式投資などが挙げられる。懸賞や買い物に伴うポイントは、スポンサーや販売会社自身が、広告やリピーター獲得のためにお金を払っている。プレーヤー側としては、基本的に対価を払わず経済的価値を享受できる。

さまざまな意見はあるものの一般的に、株式投資はプラスサムゲームに分類される。なぜなら、世界経済は成長を続けており、今後も成長し続けると考えられているため、企業業績の期待を織り込む株価も、基本的には右肩上がりになるからだ。

株式投資は「長期目線」と「分散」が大事

上記のように、中長期的に見れば、株式投資は勝つ確率が相対的に高いゲームと言える。ただ、いくつか条件がある点にも注意が必要だ。

まず、中長期的に見て、成長を続ける株式市場に投資をすることが重要だ。マイナス成長をずっと続ける市場に投資をしても、リターンを得られる確率は低いだろう。また、個別銘柄は倒産する可能性があったり、その企業特有のニュースに振り回されたりする可能性があるため、分散投資を徹底することも重要だ。

このように、確率論から考えても「株式投資は長期目線と分散が大事」と言われる理由が理解できるだろう。(提供:大和ネクスト銀行


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