AI (人工知能) が囲碁や将棋、チェスなどの分野で次々とプロに勝利して世間を驚かせた。AI開発は近年本格化しており、コミュニケーションや自動運転、マーケティングなどのさまざまな分野での活用が期待されている。
コミュニケーション分野においては、AI技術を活用した自動会話プログラム「チャットボット」を導入する企業が相次いでいる。チャットボットは、「チャット」 (Chat) と「ボット」 (Bot) を組み合わせた造語で、AIを活用した自動会話プログラムのこと。通常のチャットが人間同士でおこなわれるのに対し、チャットボットでは人間とAIが「会話」をすることになる。
具体的には顧客からの問い合わせ対応を担うために導入されたり、自社製品・サービスの利用を促進するために導入されたりしている。では実際、チャットボットが登場したことで、企業のサービスがどう変化し、私たちの生活にはどのような影響があるのだろうか。
チャットボットで具体的に何が変わったのか ?
企業がチャットボットを導入する目的には業務効率化や顧客からの信頼性獲得、顧客との接点づくりなどが挙げられる。ここでは「顧客からの問い合わせ対応」を例にどのような変化が起きているのかを見ていこう。
チャットボットの登場により、不特定多数への発信や大衆向けコミュニケーションのような一方通行のサービスではなく、顧客一人ひとりのニーズに合ったコミュニケーションサービスを提供することができるようになった。従来からコンピュータが人間に代わって対応する自動会話プログラムは存在していたが、あらかじめプログラムを組んだマニュアル通りの対応しかできず、柔軟性には欠けていた。
チャットボットの大きな違いとして、日々蓄積されていく顧客からの質問と回答パターンを人工知能に機械学習させることで、回答の質がアップデートされ続ける点にあり、従来の自動会話プログラムにはできなかった自然なコミュニケーションを図ることできる。あるいは繁忙期には人手不足をカバーすることができ、サービスレベルの低下を抑制し、信頼性の構築にも一役買っている。
サービス利用者として注目したいのは、自分が知りたいことに対して、プログラムが自ら判断して、いつでも会話ができるようになってきた点だ。
「恥ずかしくて、今さら人に聞きづらい」、「知りたいことを今すぐに知りたい」、「ちょっとしたことを気軽に聞きたい」「電話で聞くのは時間も無いし面倒だ」「問い合わせたいことがあるのに電話がつながらない」といったニーズや不満もチャットボットが24時間365日即時で解決してくれる。
例えば新聞で、人生100年時代、老後に備える資産形成手段としてつみたてNISA (少額投資非課税制度) やiDeCo (個人型確定拠出年金) が有効であることを読んだが内容が難しく、もう少し基礎的なことから学びたいといったニーズもチャットボットが解決してくれるだろう。
チャットボットの可能性と今後の課題
チャットボットの出現は大きな変革といえる。上述では「知りたいことを知ることができる」ことをメリットとして紹介したが、それ以外にも、フードデリバリーや宅配荷物の再配達依頼、移動の乗り換え案内、スケジュールのリマインド等々、生活への影響は多方面にわたる。
とはいえ、AIそのものがまだ黎明期にあることもあり、課題も多い。チャットボットは人間と同じで、学習しなければ進化することが難しい。現時点でパーフェクトな対応ができるわけではなく、学習を蓄積していくためのある程度の時間はかかる。まだまだ試行錯誤を繰り返して進化していく必要はあるが、人々の暮らしを便利な方向へ大きく変えることになりそうだ。(提供:大和ネクスト銀行)
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