ビジネスパーソンとして活躍している女性の中には、これから資産運用を始めてみようと考えている方も多いのではないでしょうか。ひとくちに資産運用と言っても、さまざまな方法があります。
この記事では、働く女性が投資商品を選ぶ上でのポイントや、各商品の概要や特徴、気をつけるべきことを解説します。
資産運用に注目する女性が増加中?
コロナ禍で先行き不安が加速したこともあり、将来に備えて資産運用を始める女性が増えています。
資産運用とは、さまざまな手段で手持ちのお金を増やすことです。広義には銀行預金も資産運用に含まれますが、一般的には投資を通じてお金を増やすことを指します。
働く女性こそ資産運用を始めたい5つの理由
働いて給与を受け取っている女性の中には、資産運用を始めようと考えている女性もいることでしょう。ここでは本コラムのテーマでもある、働く女性こそ資産運用を始めたい5つの理由について解説します。
●1.自身の収入を元手資金として活用できる
投資は日常生活に支障のない範囲の資金で取り組むのが基本です。自身に安定した収入があれば、投資に回せる元手資金の確保がしやすくなるでしょう。
同じ家族構成でも、専業主婦の家庭より共働きの家庭の方が金銭的な余裕が生まれやすいので、投資に回す金額を多くすることも可能です。
単身で働く女性も、資産運用に向いている傾向があります。女性は、男性よりも家計にシビアで日頃の節約を徹底できる人が多いと考えられ、元手資金も用意しやすく堅実に投資する適性があると言えるからです。実際、国の統計によれば、女性は男性より年収に占める貯蓄の割合が高い(つまり使いすぎることなく堅実に貯蓄している人が多い)ことがわかっています。
●2.仕事をしているからこそ入ってくる知見を活かせる
株式投資をはじめとするいくつかの資産運用は、投資先となる業種・業界への深い理解が、投資の成否をわけるポイントになる場合があります。その点、仕事をしているからこそ身に付いた知識・経験は投資においても役に立ちます。
特に働く女性のなかには、仕事やプライベートな会話を通して「今、何が流行っているのか」「今後どんなものが人気になりそうか」といったトレンドをいちはやく察知して、女性ならではの視点で分析できる方もいるでしょう。
これは、仕事やプライベートを充実させるためだけでなく、投資にも使えるスキルです。
●3.もし仕事を離れても自分のペースで続けられる
ライフプランは人それぞれですが、今後もし結婚や育児などを機に仕事から離れるという場合にも、投資は自分のペースで続けることができます。また投資で得られる副収入があれば、仕事を離れても、無収入にならずに済む場合もあります。
●4.老後の不安解消にも役立つ
年金だけでは老後資金を賄えないとも言われる今、積極的に資産運用について学んで実践すれば、将来のお金に対する不安を和らげることができるでしょう。
特に働く女性の場合は、出産や育児で仕事を離れる方も少なくないため、将来受け取れる年金や退職金が少なくなりがちです。安心して老後を迎えるためには早めの対策が肝心です。
●5.女性の方が投資で利益を出せているという研究結果も
株式投資など、資産運用に積極的に取り組んでいるのは主に男性というイメージがあるかもしれません。国内外のある調査によると、確かに投資を実践している割合は男性のほうが高いのですが、女性は男性よりも堅実に投資に取り組む方が多く、運用成績もよい傾向があるようです。
もちろん男性でも堅実な方はいますし、すべての女性にあてはまる特徴というわけではありません。ただ、リスクを抑えた長期投資が得意なのは、投資の面で有利に働くでしょう。
働く女性におすすめの資産運用! 選ぶポイントは?
資産運用で肝心なのは「何に投資するか」です。自身の投資知識や、想定する運用期間などをもとに投資先を選ぶ必要があります。初心者の場合、以下の条件を満たしている商品を選ぶのがおすすめです。
・仕組みがわかりやすい
・値動きが安定している
・少額でも始めやすい
・長期投資に向いている
上記の条件を満たし、働く女性におすすめできる資産運用としては、たとえば「投資信託」、「株式投資」、「個人向け国債」が挙げられます。ただ、「どの銘柄を選ぶか」は注意が必要です。特に初心者のうちは、次のような銘柄は避けた方が無難です。
・何度説明を聞いてもわからない
・短期間で大幅な上昇や下落を繰り返す(値動きが激しい)
・多額の資金を必要とする
・運用方針や手数料などの重要事項が記載されている目論見書が理解できない
以上を踏まえた上で、投資信託、株式投資、個人向け国債の特徴や資産運用を見ていきましょう。
●1.投資信託
投資信託は、多数の投資家から集めたお金を1ケ所にまとめて、それを投資のプロが複数の投資先に分散して運用する商品です。
月100円など少額から始められる商品もあり、投資先選びはプロに任せられるので、初心者でも取り組みやすく人気がある投資方法です。
投資信託は一分一秒の値動きを予測するような投資ではありません。常に相場を追い続けなくても運用できますので、普段は仕事や家事などで忙しくて投資になかなか時間を割けないという方でもチャレンジしやすいでしょう。
女性はリスクを抑えながら少額からチャレンジできる投資を好む傾向があると言われますが、投資信託はまさにその希望を叶えられる資産運用です。ただし、プロに任せるぶん手数料がかかり、元本割れ(投資額より受け取り額が少なくなること)になる可能性もゼロではありません。
●2.株式投資
株式は、企業が発行している証券です。株式は市場で売買されているので、安いときに買って高いときに売ればその差額を利益として得ることも可能ですし、保有し続けて配当金や株主優待を受け取ることもできます。
ミニ株(単元未満株)と呼ばれるサービスなどで少額から始められる証券会社もあります。勤務先によっては、従業員が自社の株式を購入できる「持株会」という制度を用意している場合もあります。
一方で、株式投資も元本割れになる可能性があり、運用がうまくいかなかった場合は損失になる可能性もあります。株式投資を始める際は、IR情報や株価チャートを手がかりに投資先企業を研究することが重要です。
株式投資は、投資信託や個人向け国債より専門知識が必要な“上級者向け”の投資と思われがちです。ですが、人づての情報や流行に敏感な女性がこれから人気が出そうな株を見極めたり、家計にシビアで節約上手な女性が株主優待をフル活用したりしてうまくいっているケースも見受けられます。その意味でも、株式投資は働く女性におすすめの資産運用のひとつと言えるでしょう。
●3.個人向け国債
国債とは、国が資金調達のために発行している証券のことです。個人向け国債は、日本の国債を個人でも買いやすいように商品化したものです。
国債を買うと、国にお金を貸していることになります。個人向け国債では半年ごとに利子が受け取れ、満期が来たら元本が全額返ってきます。金利は、年率0.05%(税引前)が最低保証されています。
国が運営しているため、基本的に元本割れになることがなく、定期預金のような感覚で利用することもできます。
女性は、男性に比べ堅実な資産運用を好む傾向があることは先述のとおりです。その点、個人向け国債は大きな利益を求めるのには向いていませんが、国が相手方になるぶん、数ある投資方法の中でも特に安定性が高い部類に入ります。投資に対して不安感や恐怖心を持っている方でも、一歩踏み出しやすいのではないでしょうか。
税制優遇制度(iDeCo/NISA/つみたてNISA)を活用しよう
近年、政府では国民の投資を促すためにiDeCoやNISAといった税制優遇制度を用意しています。これらの制度には、投資で利益を得たときにかかる税金が非課税になるなどのメリットがありますので、積極的に利用するとよいでしょう。
たとえば、株式投資ならNISAの活用が検討できます。投資信託ならNISAだけでなく、つみたてNISA、iDeCoの活用も検討できます。
将来のために少しずつできることから取り組んでみよう
働く女性におすすめの資産運用方法を3つご紹介しました。自身の運用方針や価値観と照らし合わせて選びましょう。
投資信託も、株式投資も、個人向け国債も少額からでも始められ、初心者でも比較的挑戦しやすい投資と言えます。まずは失敗しても生活に支障をきたさないくらいの少額から踏み出してみてはいかがでしょうか。
執筆者:馬場 愛梨(ファイナンシャル・プランナー)
(提供=auじぶん銀行)
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