周辺住民も「ノー」

住民側にも、民泊に「ノー」を突きつけるところが出始めています。たとえば、東京で人気の居住エリア・有明の超高層マンションの管理組合は住民のAirbnb等を利用した民泊としての貸し出しを禁止する措置をとりました。「不特定多数の人の出入りによるセキュリティ問題」のほか、ロビーやスポーツジムなどの共用施設も利用されてしまうことで、マンションのブランド価値が低下する懸念があったそうです。

足立区の高層マンションでも、共用部の「ただ乗り」は管理費を支払っている住民が不利益を被るとして管理規約に民泊を禁止する条文を追加することになりました。

大田区の先例、そして今後

そのような中、東京都大田区では2015年末にAirbnbなどの「民泊」を一定の条件で認める条例案が可決されました。

条件とは、居室の床面積が25平方メートル以上であることや出入口が施錠可能であること、滞在期間が6泊7日以上であることや滞在者名簿を保管することなどで、治安悪化を懸念する周辺住民の声に応えた内容といえます。

2020年の東京オリンピックに向けて国内の宿泊施設が不足することが予想されており、ホテルを新たに建設せずに宿泊客を増やせることはメリットといえそうです。

しかし、この取り組みも、歓迎されているとはいいがたいのが現状です。同区の区議会議員ですら「民泊は都市計画の抜け道を与えることになる」「維持してきた町並みを悪化させる要因になる」と懸念を述べています。

Airbnbをはじめ、民泊施設が増え続けていくのはほぼ確実といえる中、単なる「規制緩和」や「例外設定」では無秩序な利用拡大が起きてしまいます。何が「ダメ」なのかをはっきりさせておくことが、この「民泊問題」解消への第一歩となるのではないでしょうか。 (提供: お金のキャンパス

【関連記事 お金のキャンパス】
そもそも「株」ってなんだ? 世の中を豊かにした人間の英知 「株・株式会社」
「円安と円高」についてちゃんと説明できますか? 外貨投資のリターンとリスクとは
金融サービスを変えるフィンテック
大手製造業の社内体制変革に注目――GE、シーメンス、日立
中国不動産、2016年も政府の支援策が続く見通し