『インサイド・ジョブ』でリーマンショックの真実を知る

リーマンショックを題材にした映画には、2009年公開でドキュメンタリーの『キャピタリズム~マネーは踊る~』、2011年公開でリーマン・ブラザーズをモデルとした投資銀行を描いた『マージン・コール』、2015年公開でサブプライムや銀行を空売りしたトレーダー達を描いた『マネー・ショート 華麗なる大逆転』などがあります。

今回紹介するのは、2010年に公開された『インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実』です。アカデミー賞で長編ドキュメンタリー部門賞を受賞した米国の作品で、世界金融危機はなぜ起こったのか、有名な金融機関の関係者や政治家にインタビューして核心に迫ろうとしています。ソロスやポールソンといった、ヘッジファンド界の大物がインタビューに登場します。インサイド・ジョブとは「内部犯行」のことで、リーマンショックを引き金とした世界金融危機は、内部にいた関係者たちが生み出した犯罪であるというメッセージが込められているのかもしれません。

バブルが起き崩壊する過程では、モラルを無視したマネーゲームに興じる存在が生まれます。教訓を忘れないためにも、同時代に生きた証人として見ておくべきではないでしょうか。

『ソーシャル・ネットワーク』で有名IT企業のスタートアップ期をおさらい

2010年公開の映画で、SNS最大手の米Facebookを創業したCEOのマーク・ザッカーバーグのノンフィクション映画です。

ザッカーバーグがFacebookの前身であるFacemashをハーバード大学在学中に立ち上げたのが2003年で、現在世界的に広まるSNSの種がまかれました。もともとは、恋人にフラれたザッカーバーグが、腹いせに女子学生の写真を集め女子の格付けを始めたサイトです。その後、エリートの双子ウィンクルヴォス兄弟に頼まれ、ハーバード大学生と女子との出会い系サイト「ハーバード・コネクション」の制作を依頼されました。それをヒントにザッカーバーグは2004年にFacebookをスタートさせます。

現在、世界を牽引しているのはIT関連企業です。世界1位の時価総額はアップルで5,615億ドル、Facebookは6位で3,559億ドルです(2016年7月末時点)。世界のベスト10のうち6社がIT系の企業です。その企業の創業期を振り返っておくことは、明日のFacebookを探すうえでも大事でしょう。誰もが、ザッカーバーグになるチャンスがあるのではないでしょうか。

『殿、利息でござる!』で江戸時代のプロジェクトファイナンスを学ぶ

日本でも、バブル崩壊後の金融市場の崩壊と、外資主導による再建の歴史は格好の映画のネタになっています。

日本金融・経済映画の名作である『ハゲタカ」、『金融腐蝕列島 呪縛』、『バブルへGO!! タイムマシンはドラム式』などはバブル期を題材にしたものです。この時代の映画はほとんど語り尽くされているので、ここでは新しい映画を紹介しましょう。

『殿、利息でござる!」は2016年5月公開で、今から240年前の江戸時代、仙台藩吉岡宿が舞台となっています。阿部サダヲ演じる穀田屋十三郎は、重い年貢で廃れていく吉岡宿を救うため、お金を貸して利息を取ることを計画し、大胆にもお殿様に貸すことを考えました。走り回って集めた資金1,000両は、現在の価値で3億円にもなります。さて、このプロジェクトは成功したのでしょうか。

年貢を取り立てられる立場の庶民が、お殿様から金利を取るという大それた逆転の発想の映画は、金融界で成功するための秘訣が盛り込まれています。 穀田屋が現在の日本にいたら、外資系投資銀行でパートナーになって大稼ぎしていたかもしれません。

お金のことが学べる映画5作品を紹介しました。映画のいいところは、楽しみながら学べることです。ここで紹介した作品以外にも、金融や経済について学べる作品は多数あります。まずこの5作品を見たうえで、ほかの作品を探してみてはいかがでしょうか。(提供: お金のキャンパス

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