大切な子どものための学費なら、惜しみなくいくらでも使いたいのが親心。そのためには、「とにかく貯金が必要」と考えるのは間違いではありません。

でもその前に、まずは大学卒業までに必要な総額を計算してみましょう。学費は進学先によって大きく変わってきます。文系と理系、公立と私立の比較が大切です。

必要な金額が分かれば計画的に準備ができるので、貯金だけでまかなうよりも効率的に資金を作っていけることが期待できます。

小学校:公立でも6年間で約193万円

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(写真=PIXTA)

公立小学校であれば授業料は無料ですが、学用品や実験材料費、遠足・見学費、PTA会費などは必要で、給食費と合計しただけでも、1年間で約10万円になります。

私立小学校の場合、授業料が高くなるのは言うまでもありません。また、公立・私立に限らず、学校外での学習塾や習い事をする場合は、さらに支出をともないます。

文部科学省「子供の学習費調査(平成26年度)」によると、保護者が支出した教育費は、小学校6年間で公立では約193万円、私立では約921万円となっています。

中学校:学校外の教育費は、公立・私立とも約94万円

中学生になると、高校受験のための塾費用がかさむケースもあるでしょう。中学3年生になれば受験対策の特別授業などもあるので、早めに準備しておきましょう。

前出の調査によると、学習塾など学校外の教育費は、公立・私立とも3年間で約94万円となっています。3年間の教育費総額(学校外の教育費を含む)では授業料の違いがあるので、公立なら約145万円、私立なら約402万円です。

高校:本人の希望と、高校の受験指導の体制によって教育費が変わる

公立高校に進学して塾に通うより、大学受験の指導をしっかりしてくれる私立のほうが安心という考え方もあるでしょう。しかし、子どもの教育の考え方は家庭によってさまざまです。高校は大学進学を見据えて選ぶことが大切ですが、公立・私立に限らず各家庭の教育方針や、本人の希望に合った高校を選ぶことがより重要となります。

また、大学付属の高校であっても、希望する学部によっては学習塾を利用することも多いようです。前出の調査によると、塾などに3年間通った際の費用は公立で約40万円、私立で約61万円となっています。3年間の教育費総額では、公立で約123万円、私立で約299万円です。

大学:国公立と私立の学費の差は約100~200万円

文部科学省令による標準額によると、国公立大学に納入する学費は文系と理系の差はほとんどなく、4年間で約243万円です。

一方、私立大学は学部によって大きく違いがあります。文部科学省「平成26年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額調査」によると、文系で約386万円、理系で約522万円、医歯系で約1,531万円が平均的な費用です。

小学校から大学まですべて国公立の場合、総額で約703万円になります。すべて私立(大学は文系)のケースでは、約2,007万円です。ただし、大学は学費のみの計算です。教科書代、定期代等は含まれていません。また、下宿をする場合はその生活費なども別途必要になります。

国公立・私立の違いもありますが、どのくらいの学費を準備する必要があるかイメージできたのではないでしょうか。次は、具体的な学費の準備方法について紹介しましょう。

学費調達の手段はさまざま

小学校に入学してから大学卒業までの学費総額が分かったところで、次はいよいよ準備方法です。学費調達の手段は貯金だけではありません。ここではさまざまな優遇制度を紹介します。

○ 奨学金
経済的理由で修学が困難である優秀な学生に対し、学費の給付または貸与をする制度。日本学生支援機構の貸与型奨学金は、月額3~12万円から選べて、無利息・利息付きものがあり、利息の上限は年3%です。

○ 教育ローン
国などの公的ローンと、銀行などの民間ローンがあります。親が借りるのですが、国の教育ローンでは、一人350万円まで可能で、利子は年1.81%の固定金利です。(2017年4月3日現在)

○ 学資保険
教育資金の積立として、進学のタイミングで満期金を受取れます。しかも保険ですので、万が一、満期前に親が亡くなった場合は、月々の支払いが不要となります。しかし、満期金は受け取ることができるので安心です。

○ 贈与
平成25年4月1日から平成31年3月31日までの間に、30歳未満の方が教育資金として祖父母からの贈与を受けた場合、1,500万円まで贈与税が非課税になります。金融機関を通じて手続きをする必要があるので手間がかかりますが、用途が教育資金に限られているため計画的に利用できます。

○ ジュニアNISA
専用のNISA口座を通じて、株式や投資信託の運用をします。0~19歳が対象のジュニアNISAは年間80万円までの投資枠があり、上場株式や株式投資信託などを売却した利益や配当などが非課税となります。18歳まで引き出すことができないので、しっかり貯められそうですね。

学費は、必要な時期がはっきりしています。進学のタイミングで数年おきにまとまった資金が必要になりますが、小学校から高校まではその間の貯金で対応することもできます。最も学費のかかる大学進学の時期に照準を合わせて、資金作りは時間を味方につけて、賢く準備をしていきましょう。(提供: お金のキャンパス

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