『年収200万円からの貯金生活宣言』『はじめての人のための3,000円投資生活』など多くの書籍を執筆するファイナンシャルプランナー・横山光昭さん。横山さんはこれまでたくさんの方のご相談を受け、親身になって家計再生コンサルティングをされてきました。実際にお金の現状のことを理解したら、将来に向けて資産形成をしたいと思う人もいるのではないでしょうか。横山さんに投資と資産形成の関係についてお聞きしました。

お金を貯めることはできても、投資をするのは怖いという人が多い現状

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――実際に『お金のキャンパスの読者』の方々のなかにも貯蓄はできるけれど、投資はやったことない…という人もいらっしゃるかもしれません。日本はお金=預貯金のイメージがあり、投資に関してはあまり進んでいないという人もいます。横山さんのお考えをお聞かせください。

横山さん:最近は、“このまま貯金しているだけでよいのだろうか”と考える方が増えているという実感はあります。そのまま置いておくとインフレに負けてしまう可能性もありますから、個人的には非常にもったいないと思うんです。最初から大きなお金で投資をするのは怖いと思う方もいらっしゃると思いますから、少額投資から始めてみてもよいのではないかと思います。

今は、つみたてNISAやiDeCoなど、税制面で優遇され、初心者にも始めやすい投資の制度もあり、金融商品も豊富にあります。そのため、「どれを選んだらいいのだろうか?」という声も多く聞かれるようになっているのは確かです。それ以前にまず、投資に対する根本的な意識が追いついていないような気もします。

“そもそも投資ってギャンブルではないか”“富裕層の人がやるもの”というイメージを持つ人もいます。確かにそういう風に考える人もいるかもしれませんが、すべてがそうではないですよね。金融リテラシーや投資リテラシーのようなものがベースにないので、良い投資の制度やしくみがあっても理解されず金融商品が登場してもなかなか浸透しないのではないかと思うのですね。

資産形成はやってみてはじめてわかることもある。まずは始めてみることから。

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――横山さんは家計の状態に合わせた投資、資産形成をどのように始めたらよいのかというお考えをお持ちだと思うのですが、基本的な考え方を教えていただければと思います。

横山さん:少し乱暴ないい方かもしれませんが、やっぱり、まずは“やってみなければ、わからない”という部分はあるのではないかと思っています。だから、少額からトライをして感覚をつかんでいただきたいですね。貯蓄の延長線のような投資でかまわないと思います。さきほど申し上げたつみたてNISAやiDeCoなどを活用して、自分で勉強しながら始めてみるのがよいと思っています。

実際に投資をしてみると、本当のお金の価値みたいなものがみえてくるのではないでしょうか。投資を始めると無駄遣いが減って来るというか、例えば、これまで一回の飲み会で使っていた3,000円を投資に回すようになったりするものです。投資というイメージからかけ離れた、わずかな金額かもしれませんが、この3,000円が積み重なっていくと、1年で3万6,000円になっていきますし、プラスアルファが得られるかもしれません。

「もう少し月額を増やしたらどうなるか?」なんて考え始めると、飲み会を一回減らして、その分、投資に回していこうかなんて感じで、どんどん無駄遣いは減ってくるんですよね。そして家計に目がいくようになる。これまでは、単に節約したり、やりくりとかいった話ばっかり考えていても、あまり面白味が感じられないなんて方もいらっしゃいますよね。

でも、そこで「投資」という、別な切り口による新しい考え方を知って、家計に取り入れていくと、気がついたら貯まっているねとか、あれ?これを3倍、4倍、5倍くらいにして長期でとらえたら、もう少し増えるんじゃないかな?これを20年間やったらどうなるのだろうと考えるようになります。

やっぱり、“長期・分散・積立”だよねって、最近、盛んに世間で言われている投資のセオリーの意味が、やっとわかってきましたという人もいらっしゃるんです。

長く考えることが大切。短期投資はプロの世界だという認識を

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短期で増やすという類の投資は、まさにプロフェッショナルな世界なので、正直、一般的な初心者が手をだすようなものではないと思っています。やっぱり長いスパンで考えて、経験を重ねていくと、少しずつ勝率が上がっていくと思っているので、できれば家計をきちっとみていただいたうえでチャレンジしていただきたいですね。

まずは“3,000円だけやろうか”というところから、“もう少し増やしてみようか”なんて考えながら、家計にフィードバックして、また家計を見直してみる。この部分をうまく節約して、浮いた分を投資に回していくと考えていけば、それこそ生産性の高い節約が実現できると思います。

それこそ、最近は細かく組立ができる金融商品も登場していますから、家計の状態にあわせて、すぐにやってみて、走りながらチューニングしていくのが正解なような気がしますね。

横山 光昭さん(よこやま・みつあき)
家計再生コンサルタント。株式会社マイエフピー代表取締役。
家計の借金・ローンを中心に、盲点を探りながら抜本的解決、確実な再生をめざす。個別の相談・指導では独自の貯蓄プログラムを生かし、リバウンドのない再生と飛躍を実現し、これまで8000 人以上の赤字家計を再生した。業界でも異端児的活動で、各種メディアへの執筆・講演も多数。雑誌、新聞、テレビ、ラジオでも活躍。Web では日本経済新聞社などで連載を公開中。全国の読者や依頼者から共感や応援の声が集まる、庶民派ファイナンシャルプランナー。
独自の貯蓄法などを紹介したシリーズ累計61万部の『年収200 万円からの貯金生活宣言』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)をはじめ、『約7000 世帯の家計診断でわかった! ずっと手取り20 万円台でも毎月貯金していける一家の家計の「支出の割合」』(ダイヤモンド社)、『NHK「あさイチ」お金が貯まる財布のひみつ:不安がなくなる貯金の極意』
(共著/新潮社)など著書も多数。

(提供:お金のキャンパス

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