海外投資資金が中国A株を後押しする動きが強まっている。MSCIやFTSEのA株組み入れにより、各指数が反応してきた。香港市場でも中国からの投資資金（チャイナマネー）が大型株中心に流入している。
白酒とネット・IT株が人気
MSCIは18年5月にA株を同社算出指数に組み入れ、徐々に比率を高めてきた。FTSEラッセルも同様に19年6月に組み入れを開始し、20年6月22日に組み入れ比率を算出するための係数を25％に引き上げた。これらの指数は投資信託（ファンド）などのベンチマークとして採用されており、指数連動ファンドを通じて機関投資家の買いが入りやすい。中国の個人投資家の間では「外資が買うなら我々も」という流れが起き、指数が上昇することが多い。
海外投資家の間では「著名大型株」の人気が高く、売買代金も多い。そして株価も右肩上がりだ。ストックコネクト（香港⇒上海・深セン）の売買代金ランキングを見ると、上海A株では貴州茅台酒（600519）、深センA株では宜賓五糧液（000858）の“白酒2強”が上位の常連。江蘇恒瑞医薬（600276）や珠海格力電器（000651）なども内需株の代表格株として常に注目されている。
内蒙古伊利実業集団（600887）は、他の内需株と比べると出遅れ感が目立つが、それでも直近1年半では上海総合指数を上回る安定的なパフォーマンスを見せている。立訊精密工業（002475）は過熱感が目立つものの、米アップル製品の受注増やベトナム工場の稼働など話題が豊富で、無償増資後も高値を更新し続けている。今後も海外投資資金が入りやすい内需セクターの力強い値動きが期待されよう。
一方、香港市場では“外資”ならぬ “内資”（チャイナマネー）の動きを注視したい。ストックコネクト（上海・深セン⇒香港）で人気の銘柄は、テンセント（00700）、SMIC（00981）、美団点評（メイトゥアン、03690）、小米集団（シャオミ、01810）などだ。共通点は「メイン事業地域は中国」「A株市場では売買不可」ということ。いずれの銘柄も値動きは良好。中国人投資家の売買動向をウォッチしながらの香港株投資戦略も有効だろう。
（上海駐在員事務所 奥山）
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