日経平均予想レンジ 16,500~17,209円
今週は、原油価格の反落による欧米株安に加え、円高に振れた為替など外部環境の悪化が重しとなり、日経平均は週前半に3日続落から16,500円を割り込んだ。週末にはECB理事会後のドラギ発言を受けた欧州株安から神経質な動きとなったものの、押し目買いから切り返し、終値では16,900円台を回復した。
注目されたECB理事会では、預金金利を-0.3%から-0.4%に引き下げ、毎月の資産買い入れ規模を600億ユーロから800億ユーロに引き上げた。しかし、ドラギ総裁が「さらなる利下げが必要になるとは予想していない」と利下げの限界を示唆した。市場では、6月にも金利を引き下げるとの期待があっただけに、金融緩和の実効性をめぐる不透明感は強まっている。
一方、米景気への金融市場の過度な警戒感は和らいでいる。2月の米雇用統計は前月比24.2万人と、市場予測19万人増を大きく上回った。ただ、賃金の伸びは鈍く、FRBは中国の景気減速など海外の下振れリスクを警戒しながら慎重に追加利上げの時期を見極めることとなりそうだ。
国内では、3/8に内閣府が発表した2015年10-12月期GDP改訂値は-0.3%、年率換算-1.1%に上方修正された。昨年末にかけて設備投資の底堅さが改めて確認されたが、個人消費の弱さから、景気は踊り場との見方は変わっていない。国内景気の先行き不透明感はぬぐえないものの、世界経済の重しとなってきた原油価格が上昇基調に転じつつあることから、市場のムードは徐々に好転に向かうと期待される。
また、議長国を務める5月の伊勢志摩サミットでは主導的に内需拡大を訴える立場にある。停滞感が漂う国内景気の浮揚に向けて、安倍政権が公共投資をはじめとした大規模な経済対策や2017年度消費増税延期の切り札を切るかが注目される。いずれにしても、3月末の2016年予算成立後が焦点となろう。
テクニカル面では、17,000円で押し戻されたことで、上値・下値とも切り下げ型のチャート形状となり、目先的には弱気トレンドを表している。しかし、25日線を下回らず日柄調整が終われば、2/12安値を頭とした逆三尊が形成され、底入れ感から上昇転換の可能性は強まってこよう。
以上、来週の相場は、外部環境を見据え、政策期待を背景に上値を試す展開となろう。日経平均のレンジとしては、上値は2/4高値17,209円が意識され、下値は節目の16,500円が目処となる。
伊藤嘉洋
岡三オンライン証券
チーフストラテジスト