決算月は期末の営業攻勢など忙しい月ですが、翌期に向けての準備も必要となります。そこで、決算期末までにやっておくべき決算対策や検討事項を紹介します。
決算期末までにやらなければならないこと
決算期末までに行わないと後々影響が出てくる事項4つを、順番に見ていきます。
・ 来期の利益計画を策定
予想売上はどうか、それにかかる原価や人件費等の費用はどれくらいかを考える必要があります。単なる数値合わせではなく、十分な裏付けが必要となります。この計画があって初めて、以下の項目が検討可能となるでしょう。
・ 役員報酬を決定
当期の利益見込みと来期の利益計画に基づいて、どの程度役員報酬を払えるかが決まります。厳密には期末から三ヶ月以内に決めればよいですが、資金計画等に関係するため早いほど良いでしょう。
特にオーナー社長の場合は、役員報酬の額は法人税と社長の所得税に直結します。役員報酬を払い過ぎれば社長の所得税が高くなり企業の利益は減ることになります。逆だと、社長の所得税は抑えられますが、企業の法人税が増えることになります。バランスを見ることが大切です。
・ 来期の消費税申告方式の決定
売上規模により、消費税が免除される事業者、消費税が原則方式で課税される事業者、簡易課税制度、が選択できます。消費税申告方式に変更がある場合は、期末までに税務署へ届け出る必要があるので注意しましょう。
・ 来期の資金繰り計画をたてる
利益が出ていても資金が枯渇したら会社は継続できません。売上金回収や費用支払の時期、納税資金、不足の場合どこから資金を調達するか、などを加味しましょう。
決算対策による利益精査の例
当期の利益見込みが大きく黒字の場合、以下の項目を見直すことで、節税のために利益を精査することができる。
・ 未払費用の計上
費用の支払義務が確定していて、それを裏付ける契約等があり金額が明らかであれば、「未払費用」として費用を計上できます。例えば、給与が25日締めの場合、26日から末日までの日割給与額を未払費用にできます。
・ 決算賞与
役員賞与を除き、期末までに受取人全員に通知し、期末から一ヶ月以内に支払っている場合は、未払いの決算賞与を費用にできます。
・ 貸倒処理と貸倒引当金の計上
回収ができなくなっている売上債権がある場合は、貸倒損失という処理をします。また、債権額に対して貸倒損失実績の割合や法定割合をかけたものを貸倒引当金とし、費用計上できます。
・ 固定資産台帳
既にない資産が台帳に載っている場合は、「固定資産除却損」として費用にできます。また、資産購入時に固定資産台帳に載せている資産で、「一括償却資産」や中小企業の特例である「少額資産」へ変更できる場合は、処理の変更を行うことで当期費用が増えます。
ほか、消耗品の前倒し購入や在庫棚卸の正しい実施、短期前払費用の費用計上などが決算対策として挙げられます。
外注することのメリット
決算前の検討から決算書の作成、税務申告にかけては、経理代行会社や税理士に委託するというのも一つの方法でしょう。第三者のチェックが入れば、不正を見抜ける可能性があります。経理の細かい処理は担当任せという社長もいますが、数値の違和感から不正経理が発覚するかもしれません。
また、有利な処理により節税できたり、税務リスクを低減したりすることも可能となります。税務調査が入り追徴課税を受けると、追徴額に最大40%上乗せして税金を取られます。リスク回避のために、根拠を残して正しい処理をしておくことが大切です。
そして何より、決算にかかる時間を他業務に使うことができます。経理をしている社長は、空いた時間を営業等に使えますし、人材不足の企業では事務員が他の管理業務にあたることができます。
決算前に何をどう行うか決定しよう
決算期末までに、次の期に向けてやるべきことは多くあるということがおわかりいただけたでしょうか。決算対策も一部紹介しましたが、節税や税務リスク回避等のメリットを考慮し、外部委託という選択肢も考えてみてはいかがでしょうか。(提供: TRUSTAX )
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