Airbnb
(写真=PIXTA)

Airbnbの登場を受けて、東京都大田区の特区民泊条例の制定など、すっかり「民泊」という言葉が定着しました。欧米では、一般的な休暇の過ごし方、家の借り方であったスタイルがビジネス化したわけです。

日本ではこれまで、限られた人だけが会員制のリゾートホテルを「貸別荘」として使うという過ごし方はありましたが、訪日外国人の急増や、空き部屋・空き家の増加という貸借両方の事情が重なった結果、「民泊」が急増しました。現在、日本の「民泊」物件を掲載しているサイトは15近くあり、東京オリンピックを契機に今後さらに増えそうです。今回は、数ある日本の民泊サイトをできる限り網羅し、それぞれの特徴をご紹介したいと思います。

日本で使える日本語の民泊リスト

● Airbnb(エアービーアンドビー)
Airbnbは、「190か国超の地元の家で暮らすように旅をしよう」をキャッチフレーズにした世界最大の民泊サイトです。世界3万4000都市・200万件の登録があり、利用者数も世界一です。このうち日本国内の登録物件は2万5000件となっています。そのうち3分の1が東京の物件で、次いで大阪、京都です。なお運営会社はアメリカ・サンフランシスコに本社があります。

● STAY JAPAN(ステイジャパン)
サイトを運営する「とまれる株式会社」は、東京都大田区の民泊物件2件をいち早く登録したことで知られています。「民家、アパート、マンション、古民家の空き部屋やユニークな場所」を紹介するサイトで、特区条例に沿った「6泊7日以上」の物件を揃えるとしています。民泊の解禁・特区民泊条例の制定を予定している大阪府、大阪市などの他都市への展開を見据えています。

● とまりーな
上述の「とまれる」社が展開しているもう1つのサイトです。日本の農林漁業体験民宿を対象にしているという点で、「STAY JAPAN」との差別化を図っています。

● HomeAway(ホームアウェイ)
「あなたの旅にピッタリの休日の家を見つけよう」をキャッチフレーズに日本語展開しています。元は2012年、シンガポールで「travelmob」の名で始まったサービスです。2013年、米・ナスダック上場のHomeaway.incに入り、さらにこのグループは2015年12月、世界最大の旅行予約サイトで月間9000万人のユニークユーザーのいるエクスペディアに買収されました。Homeaway.incは、世界190か国100万件の物件を紹介し、毎月7700万人の旅行客に届いているとしており、エクスペディアの傘下入りでますますAirbnbの対抗勢力になりそうです。日本の物件は1100件以上です。

● トリップアドバイザー
トリップアドバイザーは民泊専門サイトではありませんが、2億件以上の口コミがある世界最大の旅行口コミサイトで、旅行費用も比較できます。独立系の民泊紹介サイトを複数買収し、25のグループサイトで紹介しています。

● FLIPKEY(フリップキー)
トリップアドバイザーグループの1つで、本社はアメリカ・ボストンです。日本の物件を約700件掲載しています。日本語サイトはありませんが、民泊運用サービス会社が登録を代行します。

● WIMDU(ウイムデゥ)
日本の物件掲載が2番目に多いのが独立系WIMDUです。サイトの一部に日本語を使っています。ドイツ・ベルリンに本社を置く2011年創業の会社で、世界100か国以上の30万件を掲載し、ユーザーは10万人以上となっています。日本の物件の掲載はおよそ300件です。

● Roomorama(ルーモラマ)
アメリカ・ニューヨークで自宅のアパートを貸したのがきっかけの民泊ホスト出身者が、シンガポールに拠点を移して展開しています。6000都市30万件を掲載し、うち日本の物件は約300件としています。サイトの一部に日本語を使っています。

● 自在客(じざいけ)
中国を拠点にした民泊サイトは4つ。自在客は、日本の運営支援会社が掲載をサポートし、一部に日本語を使っています。上海に本拠を持つ有限公司が運営しており、中国45・台湾21・韓国27都市とともに日本の40都市1600物件を紹介しています。

● 大魚(Fish Trip)
これも日本の運営支援会社が掲載をサポートしています。北京に本社があり、台湾の旅行客向けに強いサイトです。日本30都市の物件紹介数は5000件を超え、最多は京都です。

運営支援会社も数多くあり、特色を生かす会社をどう選ぶか

民泊の運営を支援する会社で確認できているところは、約15社があります(2016年2月末現在)。大半は、Airbnbの運営代行会社です。運営サイトへの登録から清掃までを支援し、サービスにも言語対応や地域特化などそれぞれに特色があります。

● HOST LINK(ホストリンク)
オックスコンサルティング(東京都品川区)が運営し、東京23区、千葉、神奈川、京都、大阪、沖縄の委託物件の一括サポートをしています。英語、中国語(簡体字、繁体字)、韓国語にも対応しています。Airbnb以外にFLIPKEY、HomeAway、自在客、大魚にも掲載依頼できます。

● HYAKKA(ヒャッカ)
大阪市中央区に本社があり、大阪、京都物件のみに対応しています。

● Airbnb Life(エアービーアンドビーライフ)
大阪市淀川区に本社があり、日、英、韓国、ドイツ、イタリア、スペイン、フランス語の7か国語で対応しています。

まとめ

このように、日本にもすでに数多くの民泊関連サービスが立ち上がっていることが分かります。これまでは旅館業法による規制の問題がありましたが、東京都大田区などの実例、政府による旅館業法改正の動きなど、状況は確実に変わってきているようです。

ゲスト(宿泊者)にとって民泊の魅力は、画一的なホテルなどの部屋より多彩な生活体験ができ、かつ宿泊料金が比較的安いというものです。一方、ホスト(提供者)から見ると、空室の部屋や家、別荘を有効活用できるメリットがあります。民泊ビジネスは今後ますます拡大の様相を呈しており、不動産オーナーにとって大きな関心事であることは間違いありません。(提供: Houstock Online

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