都内高級マンション
(写真=PIXTA)

2015年末から16年年初にかけて、「パークコート赤坂檜町ザ タワー」が販売され注目を集めた。売主は三井不動産レジデンシャルで、東京ミッドタウンの隣「The Mid in Tokyo」をコンセプトにした地上44階建ての超高層タワーマンションだ。

最高販売価格は驚きの「15億円」。最上階44階の北側の部屋だ。このマンションの平均坪単価(3.3平方メートル)は約1000万円、バブル崩壊後に販売されたマンションでは過去最高水準の物件となった。

さらに、このマンションのデザイン監修は隈研吾氏、設計監修が日建設計、施工が大成建設という、日本の建築界の最高レベルのメンバーが終結している。将来に渡り高い価値を保ちつづけ、ヴィンテージマンションとなること間違いないだろう。

ヴィンテージマンションは、単に売り出し価格が高いだけでなく、立地、周辺環境、デザイン、施工、管理などがしっかりとなされ、月日が経つことで味わいが増す質の高級マンションだ。購入であれ、賃貸であれ、入居希望者が、「どうしても、このマンションに住みたい」と指名されることの多い物件でもある。

そこで、都内で将来ヴィンテージマンションになる可能性の高い10物件をランキング形式で紹介したい。特に高額物件が集中し、不動産業界でCMC(千代田、港、中央)と呼ばれるエリアにおいて、2014年以降に実際に売買された平均坪単価が高い物件という条件でピックアップし、独自に順位付けをしてみた。

第10位 プラウド南青山 707万円/坪

青山のみゆき通りと骨董通りの中間に位置する総戸数19戸の邸宅。ハイセンスな青山の街並みに調和する佇まいは、質感のあるタイルにガラスキューブを組み込んだようなモダンな外観。

第9位 六本木ヒルズレジデンスB棟(710万円/坪)

六本木駅徒歩6分の場所に立ち、六本木6丁目再開発プロジェクトによって建築された43階建てのマンション。六本木ヒルズの中の各レジデンスも知名度はあまりにも有名で、「ヒルズに住む=地位やステータス」の象徴といった風潮も生まれた。

第8位 アークヒルズ仙石山レジデンス(711万円/坪)

地上47階建ての上層階はオフィス、3~24階がレジデンス。1~2階には会員制ヒルズスパが入っており、プール、エステ、フィットネスジムが利用できるだけなく、入居者はアークヒルズ、六本木ヒルズ、元麻布ヒルズ、愛宕グリーンヒルズ内にあるスパの利用可能

第7位 パークマンション六本木(737万円/坪)

檜町公園に隣接して佇む「パークマンション」の一棟。六本木のエンターテインメント性と、檜町公園の豊かな自然のどちらの享受できる住環境。外観は白基調のタイルとガラス面が洗練された雰囲気を纏い、エントランスではフロントサービスが住まう方の生活をサポート。

第6位 パークマンション南麻布(749万円/坪)

フランス大使館に隣接する一棟。「森の美術館」をテーマとした佇まいは、植栽の豊かな緑と声高に存在を主張する事のない洗練されたフォルムが街並みに調和する。華美な装飾ではなく、空間設計と素材感を意識した共用部は、どこまでも上質かつ繊細な空気を纏う。

第5位 クラッシィハウス高輪(770万円/坪)

旧高松宮邸敷地の一部に建つ5階建てレジデンス。北側には旧高松宮邸敷地の広大な緑が広がる。外観は鮮やかなベージュタイルを基調とし、風格と繊細さを纏う。エントランスを中心とするシンメトリーの外観、洗練された共用部デザインなど、上質さを感じさせる高級物件

第4位 アークタワーズイースト(864万円/坪)

六本木1丁目に位置するマンションで、オフィス棟のあるアークヒルズ、レストランやサントリーホールなどがあるエリアと複合的に開発された大規模マンション。

第3位 パークマンション千鳥ヶ淵(871万円/坪)

千鳥ヶ淵の広大な自然を望む、贅を極めた計65邸の邸宅。千鳥ヶ淵に面する唯一のマンションとして、細部までこだわり抜かれた三井不動産の傑作。重厚さと風格を併せ持つ外観、美しい水景のある庭園など、『パークマンション』の中でも一際高い評価を受ける高級レジデンス。

第2位 六本木ヒルズレジデンスD棟(874万円/坪)

六本木ヒルズレジデンスD棟は、六本木6丁目再開発プロジェクトによって建築されたマンション。D棟同様、B棟も知名度は高く、そこに住むヒルズ族という言葉も生まれたほどに、住む=地位やステータスの象徴といった社会現象も生まれた。

第1位 虎ノ門ヒルズレジデンス(1261万円/坪)

2015年5月に竣工した、虎ノ門ヒルズのレジデンス部分。最高級の贅を尽くし、新たな東京のランドマークとなった。坪当たりの売買代金は、唯一1000万円を超す。当面、都内高級マンションのシンボルとしての地位は揺らぎそうもない。

ランキングから見えた共通点

以上、実際の売買代金の平均単価(坪当たり)順にリストアップしたが、特徴は何と言っても立地の良さだ。パークマンション千鳥ヶ淵を除き、その他のハイエンド物件すべてが港区に集中している。利便性と住環境の良さが、人と物件を引き寄せるのだ。

2015年4月、ハイエンドクラス価格水準帯マンションの国際都市間調査が日本不動産研究所より発表された。それによると東京都心のマンション価格は、他のアジア諸国の都市である上海、シンガポール、香港、台北と比較して、まだ低い水準にある。さらに国内経済の側面からみるとマイナス金利の影響もあり、都心のハイエンド価格の物件は、もうしばらく、横ばいか少し上がっていく可能性が高いだろう。

代表取締役社長 中村伸一 マネーデザイン
学習院大学卒業後、KPMG、スタンダードチャータード銀行、日興シティグループ証券、メリルリンチ証券など外資系金融機関で勤務後、2014年独立し、FP会社を設立。不動産、生命保険、資産運用(IFA)を中心に個人、法人顧客に対し事業展開している。日本人の金融リテラシーの向上が日本経済の発展につながると信じ、マネーに関する情報を積極的に発信。