日本政策

ベンチャー企業に対し、一定の条件を満たした場合に3,000万円までを無担保、無保証人で融資する「創業融資制度」の実績が増加しています。日本政策金融公庫が平成26年4月30日付で発表したプレスリリースによると、平成25年度の創業融資実績は、22,800企業(前年度比117%)、1,821 億円(前年度比137%)と2年連続で大幅に増加し、融資実績数では平成18年度(2006年度)以来7年ぶり、融資金額では平成16年度(2004年度)以来9年ぶりの高水準となりました。本稿では、創業融資制度増加の要因を見てまいります。


①キーワードは「女性」「シニア」「若者」

融資の増加を牽引しているのは、「女性」「シニア(55歳以上)」「若者(30歳未満)」といった層です。女性による創業融資制度使用実績は全体の約2割を占めますが、平成25年度では4,630企業(前年度比124%)と、全体の増加ペースを上回る伸びを見せております。また、シニア層の創業融資制度使用実績は平成25年度で2,283企業(前年度比138%)、若年層の創業融資制度使用実績は平成25年度で1,817企業(前年度比106%)です。女性であれば、「夢」や「生きがい」の追求のために、趣味や経験を活かした分野の創業の増加。

シニア層であれば、これまでの勤務経験を活かした経営コンサルタントの創業に加え、介護事業をはじめとしたソーシャルビジネスの創業が増加しているとのことです。 特に、「女性」の創業支援については、安部内閣がアベノミクスの3本の矢の一つである「成長戦略」の施策として推進しています。「女性の社会進出支援」を進める具体的な施策として、「子育て後の起業支援について」があり、「地域需要創造型等起業・創業促進補助金」という制度を整備して起業支援を進めています。


②「女性」による起業の傾向

女性による起業の傾向としては、(1)一般消費者向けの事業を選択する割合が多い (2)収入よりも満足重視 (3)スモールスタートで堅実経営の3点が挙げられます。 日本政策金融公庫による「女性起業家の開業」というレポートによると、女性企業家の4人に3人が「個人向けサービス業」、「医療・福祉」、「飲食店」等一般消費者向け事業を選択する割合が多く、男性起業家が「医療・福祉」「建設業」等を選択するのと対照的になっています。また、ターゲット顧客についても、女性消費者を主な対象としている割合が男性消費者よりも高くなっています。

また、起業理由についても「年齢や性別に関係なく仕事がしたい」や「趣味や特技を活かしたい」等の理由が女性は上位を占めてきます。また、収入と仕事のやりがいのどちらを重視するかという質問に対しては、女性の方が男性よりも仕事のやりがいに重きをおいている傾向があります。

開業費用については、女性起業家の開業費用平均は983万円で、男性起業家の1,114万円よりも少ないことがわかります。開業後の収支については、開業時の黒字基調の割合は63%と男性よりも少ないもの、開業後4年を超えると女性が男性を逆転することから、小さな開業資金で開業し、堅実に経営する傾向があることが伺えます。

女性起業家の開業(日本政策金融公庫):
http://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/topics_131224_1.pdf