株式新聞,リテールテック
(写真=Thinkstock/Getty Images)

Eコマース(電子商取引)マーケットの拡大や、ネットとリアルをつなぐオムニチャネル戦略の広がりを背景に小売業界がIT投資を強化している。株式市場では金融のIT化を意味する「フィンテック」が巨大な物色テーマに成長したが、流通とITが融合する「リテールテック」という概念からも有力銘柄が浮上しそうだ。

内閣府などが発表した1〜3月期の法人企業景気予測調査によれば、全産業のソフトウエア設備投資は、前年比で2015年度が15.4%増えるものの、16年度は同11.1%減少する見通し。

ただ、このうち小売業は15年度の38.6%増に続き、16年度も31.3%増と大きく拡大する方向だ。ITサービスや機器メーカーには重要な市場となる。顧客にとっての攻めのソリューションを提供できる企業として、サイバーリンクス <3683> 、富士通フロンテック <6945> 、アイリッジ <3917> に注目する。

サイバーL、クラウドにAI活用も

サイバーLは、食品スーパー向けの共同利用型クラウドサービスを手掛けている。クラウドの特徴は、多くのユーザーが運用コストを負担することで、高性能のサービスを安価に共同利用できる点。システムそのものを購入するのではないため、顧客は安い初期費用で、売上や在庫の管理といった基幹業務を支援するシステムを利用できる。

高機能のサービスを低価格で利用したい企業ニーズが高まる中で、サイバーLのクラウドの導入社数は227社(昨年末時点)とここ4年で2倍近くに急増した。それでも国内の全食品スーパーに占める割合は依然20%未満にとどまり、伸び代はまだまだ大きい。来12月期には主力製品の次世代版を投入する。

先行投資の負担が重い今期は、経常利益(非連結)が前期比27%減に押し下げられる計画だが、新システム効果の見込まれる来期からは増益軌道に復帰する見通し。今後はAI(人工知能)を活用した需要予測など、新潮流を見据えたサービスの開発も進めるといい、AI関連株としても注目したい。

富フロンテク、「RFID」に商機

富フロンテクが力を入れるのは「RFID」と呼ばれる商品管理システム。微小なICタグ(電子荷札)に商品の個別情報を埋め込み、無線通信を使って自動認識する仕組み。特に、タグや端末をただ販売する旧来のビジネスから、積極的にソリューションを打ち出す提案型モデルへ転換しつつある点がポイントとなる。

潜在需要の大きい市場として注目される分野の一つがアパレルだ。衣料品小売業界は、ネット通販と実店舗の顧客を一元化し、売上の機会損失を最小限に抑えるオムニチャネル戦略への対応が迫られている。こうした中、店舗における商品の動きをリアルタイムで追い、データを即座に管理することができるRFIDの商機は大きい。

昨年来の株価下落は、2月安値で一番底を確認。足元は二番底を探る動きとみられ、ほどなく上昇局面に転じることが期待される。PBR(株価純資産倍率)は約0.7倍。次世代ATM(現金自動預払機)でフィンテック関連株としても妙味がある。

アイリッジはO2O支援光る、短期妙味

値動きの良さに乗るのであれば、アイリッジが狙い目。インターネットを利用して実店舗への集客や購買促進を図る「O2O(オンラインtoオフライン)」施策の提供に特化した、まさにリテールテックの申し子と言える銘柄だ。

同社の収益源はO2Oプラットホームの「popinfo(ポップインフォ)」。ポップインフォを組み込んだアプリを通じ、店舗に近づいた消費者のスマートフォンに情報を知らせる「プッシュ通知」と呼ばれる位置連動型のサービスが急速に普及している。1月末時点の利用数は前年同期比約1.7倍の3100万にユーザー上る。

O2Oへの取り組みを強化する動きは、大企業から中小企業に広がる公算。アイリッジの株価は2日に引いた日足チャートの長い上ヒゲを足元で上抜いており、短期的に1月高値の6000円がターゲットとなる。(3月28日株式新聞掲載記事)

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