ロボット関連株が再浮上のタイミングを迎えている。一般社団法人・日本ロボット工業会が4月下旬に発表予定の1~3月の生産・出荷実績統計は堅調な伸びとなったもよう。昨年夏以降、中国向けの動きが鈍ったことで一時期、やや足踏みする局面はあったものの、そうした状態を乗り越えて盛り返す気配が広がってきた。
こうした統計数値を手掛かりに、ロボット関連株は5月にかけて見直しムードが強まりそうだ。4月20日に安川電機 <6506> が、27日にはファナック <6954> がそれぞれ前2016年3月期決算を発表する。目玉株は物流支援ロボットに注力中のTHK <6481> だ。年初から調整を続けてきたロボット関連株に"復権"ムードが広がりそうだ。
1~3月生産盛り返しの気配 富士ソフトのヒト型ロボット「パルロ」
「中国からのロボットへの活発な引き合いは変わっていない。自動化ニーズは引き続き高く、今年1~3月の状況も悪くない」。こう語るのは一般社団法人・日本ロボット工業会の冨士原寛(ふじわら・ひろし)専務理事。昨年夏以降、中国景気の減速で一時期、業界ベースでのロボットの生産・出荷がやや停滞する場面はあったものの、昨年9~10月で底打ちした。
10~12月の生産(ロボット工業会の会員31社ベース)は台数で前年同期比9.2%増、金額では同8.4%増を記録し、4月最終週にもプレスリリースする予定の1~3月期も増勢トレンドを再確認する数値になる可能性が高い。
世界最大のロボットの需要国である中国の製造業は「日本に比べて自動化率が十分の一」(冨士原氏)と低いため、潜在需要は極めて大きい。自動車関連を中心に、日本国内のロボット需要も安定的な伸びが見込まれる。
安倍政権は昨年2月、「ロボットによる新たな産業革命」を掲げたロボット新戦略を決定。AI(人工知能)の活用によって、日本を世界のロボットイノべ―ションの拠点にする構想を推進している。5月27~28日開催の伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)をはじめ、各種イベントでもロボット大国・日本をアピールすることになるだろう。
ロボット関連株といえば、安川電とファナックが両雄。先陣を切って4月20日に安川電は前期決算を発表するが、ここでロボット事業の好実態が明らかになると、その後、4月27日発表のファナックへの期待感も増幅させ、ロボット関連株全体に見直しムードが高まりそうだ。
THK、物流支援ロボに期待
目玉株はTHK。自動運転ベンチャーのZMP社 <東京都文京区> などと共同で開発した物流支援ロボット「CarriRo(キャリロ)」は20年の東京五輪会場でも機器、資材、飲食の搬入に力を発揮するとみられる。5月12日発表予定の前16年3月期決算は減益に終わったもようだが、今期は増益転換を狙う。
2月10日に1721円安値を付けた後の底練りが進む一方、信用買い残の減少と売り残の高水準維持によって直近4月8日申し込み現在の信用倍率は0.74倍となり、好需給も先高支援の注目材料といえる。
自社開発のAIを搭載したヒト型ロボット「パルロ」で介護・福祉マーケットに切り込みを図ろうしている富士ソフト <9749> のPBR(株価純資産倍率)は0.8倍台。PBRでの評価不足銘柄としては、川田テクノロジーズ <3443> 、住友理工 <5191> も見逃せない存在だ。(4月14日株式新聞掲載記事)
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