2.株が下がる根本的な原因「思わしくない企業業績」

企業の株価を決定する要因には様々なものがあるが、最も重要な要因の一つに「業績」がある。企業活動が上手くいかないと、通常は企業内の利益がどんどん減っていき、最悪の場合には上記のように赤字になってしまうこともある。

企業は基本的には年4回、自社の活動結果を業績発表と言う形で投資家に伝えるが、右肩下がりの株価をもつ企業の大半はこの「企業業績」が思わしくない企業が多い。株価は将来を先取りして動くものなので、将来性がないとわかると投資家に容赦なく売られてしまう。企業活動が好調だった企業の業績が急に悪くなった場合、その流れはしばらく続くことが多いため株価は上がらずに下げ続けることになる。

逆に企業業績が一気に好転したニュースが伝えられると下落の流れに終わりをつげ、そこから株価は上昇の流れに変わる。このタイミングを掴んで投資をすることを逆張り投資というが初心者には少々難しいのも事実だ。

3.株式投資は「美人投票」

これは株式市場で出回っている投資家の資金は有限であり、相対的に魅力的な株へと移っていくということである。

右肩下がりで株価が下がっている場合には、戻り待ち売りの圧力があることや業績が悪いという理由以外にも、他の株式に対して見劣りするという理由がある。

もちろん票を多く集めることのできる魅力ある企業は株価も上がり、そうでない企業には票が集まらずに株価が下がっていく。魅力的でない企業はより一層魅力度が下がっていくということになる。

投資家から人気があり右肩上がりの株価は「もう上がり過ぎだろう」とチャートを見て判断してしまうことも多いと思われるが、意外とその後株価はどんどん上昇していくことがある。結局そのような企業に資金が集まってしまうと、どうしても相対的に上がらない株から資金はどんどん逃げていくというメカニズムなのだ。

負のスパイラルの途中で買うと痛い目に

株価の下落の流れの中にある株は次のような負のスパイラルを持っている。

「何らかの理由で株価が売られる→企業内から資金が逃げる→設備投資や新規事業に資金を回せなくなる→成長失速に対する失望感から株が売られる」

単純に過去の株価から見て安くなっている株を買うということは、このスパイラルの途中を買ってしまっていることになるのだ。下落の流れの終わりを捉えて投資をする「逆張り投資」と言う手法も存在するが、意外とそのタイミングを的確にとらえることは難しく初心者にはおすすめできない。最初のうちは業績の良い右肩上がりの企業を探すことから始めるとよいだろう。

谷山歩(たにやま あゆみ)
早稲田大学を卒業後、証券会社において証券ディーリング業務を経験。ヤフーファイナンスの「投資の達人」においてコラムニストとしても活動。2015年には年間で「ベストパフォーマー賞」「勝率賞」において同時受賞。個人ブログ「 インカムライフ.com 」を運営。著書に『 元証券ディーラーたにやんの超・優待投資 草食編 Kindle版 』(インカムライフ出版)がある。