減価償却
(写真=PIXTA)

不動産投資を行った場合の税金がどうなるのか、皆さん気になりませんか。実は日本の税制は「全世界所得課税」方式で、世界のどこで所得を得たとしても、日本で全て申告を行い納税する必要があります。つまり、海外不動産に投資を行った場合でも、日本の不動産に投資した場合でも、基本的には日本の税制に従うことになります。ただし、費用の観点で考え方が異なるところがあり、ここが海外不動産投資を行うメリットにもつながります。今回は、不動産投資における税金の考え方を中心に、日米の不動産投資における最も大きな違いといえる減価償却費について解説していきます。

家賃収入すべてに税金がかかるわけではない

不動産投資を行った場合の収入といえば、家賃が該当します。ただし、この家賃収入全てに税金がかかるわけではありません。実際には家賃などの総収入金額から、必要経費を差し引いた後の金額である不動産所得が課税の対象となってきます。給与など不動産以外に所得がある方は、一部の所得を除き合算したうえで課税されることになります。

日本では、毎年1月1日から12月31日までの1年間に得た所得に対して課税されます。不動産所得における総収入金額には家賃のほか、共益費、礼金、敷金・保証金のうち返還する必要がないもの、更新料などが該当します。

必要経費には、建物取得に要した不動産ローンの利子、固定資産税や不動産取得税などの税金、火災保険や地震保険の保険料、修繕費、仲介手数料などを計上できます。これらの費用は実際にかかった分を計上することができますが、もう一つ忘れてはならない必要経費として「減価償却費」があります。

古くなった分価値が目減りすると考える

減価償却費とは、建物の使用や時の経過によって価値が減少する分を費用として計上するものです。お金が出ていくわけではありませんが、建物の構造や用途により定められている耐用年数をもとに毎年、必要経費として認められる金額を計算して計上できるのです。

例えば、日本では鉄筋コンクリートづくりのマンションの場合、住宅用は47年の耐用年数となります。また、木造モルタルづくりの建物の場合、20年が耐用年数となります。仮に新築物件に投資を行った場合、47年や20年といった期間をかけて減価償却を行う必要があるため、1年間に計上できる減価償却費はそれほど大きくはありません。一方、中古物件であれば耐用年数までの期間が短くなるため、短い期間で減価償却費用をまとめて計上でき、利益圧縮、すなわち節税へとつなげることができます。

これらをみると中古物件に投資したくなりますが、日本の中古物件の場合、都心部などを除けば価値が上がるケースはそう多くなく、また転売できないリスクが存在します。そのため、減価償却費を多く計上できるといった観点だけで中古物件に投資を行うことは、日本では避けた方がよいでしょう。立地や周辺環境なども確認したうえでの投資が必要です。

米国の償却率は高く、節税へつなげられる

このほか、減価償却費の対象は建物や設備である点も知っておきましょう。つまり、土地は対象とならないのです。日本では、不動産価格の割合のうち、土地部分が占める割合が多い(平均して8割)ため、減価償却費として計上できる金額は少なめとなります。一方、米国など海外の場合にはこの割合が日本とは大きく異なります。例えば、米国では、建物が7に対して土地が3の割合で不動産価格を見積もることができます。したがって、建物価格の割合が多いことから、減価償却費を多く計上できるわけです。

このため、米国では中古物件を購入し減価償却費を早めに多く計上できることで、日本での不動産投資以上に節税につなげることができるわけです。米国の中古物件の場合、法定耐用年数を経過した資産は法定耐用年数×20%(1年未満切り捨て)で減価償却できます。法定耐用年数の一部を経過した資産であれば、(法定耐用年数-経過年数)+(経過年数×20%)で計算した年数で減価償却できることになっています。

仮に米国で築年数が22年以上の木造不動産を1億円で購入したとすると、土地の割合が3割であれば7,000万円が減価償却の対象となります。木造の場合、法定耐用年数は22年で計算でき、このケースでは既に法定耐用年数を経過しているため22年×20%=4年間で減価償却を行うことが可能となります。つまり、4年間のうちに毎年1,750万円を減価償却費として計上できることになり、大幅な節税につなげることができるのです。

このように、日米では不動産価格の内訳に対する考え方が異なり、それが減価償却費に大きく反映されることから、米国の方が費用として計上できる金額が大きくなることがお分かりになっていただけたかと思います。米国での不動産投資は、大幅な税金圧縮、すなわち節税へとつながります。価格上昇も期待できる米国不動産でこうした方法をうまく利用し、効率のよい不動産投資を行ってみてはいかがでしょうか。

(提供: フォーランドリアルティネットワークジャパン

【関連記事】
初心者でもわかる、海外分散投資をするべき理由とは?
国内不動産と海外不動産の徹底比較!
覚えておきたい海外不動産投資のキャピタル・ゲインのポイント
若いうちからの海外不動産投資で老後は南国の島で暮らせるのか?
海外不動産に投資するなら?事前に知っておきたい6つのポイント
次の海外投資先を見つける指標?世界の人口増加率ランキング!