海外不動産
(写真=PIXTA)

海外不動産投資を検討するにあたって、どの国に投資を行うのがよいのでしょうか。また、国や地域を選択するにあたって、どのような観点を調べておいた方がよいのでしょうか。慣れない海外不動産投資に不安になる方も多いと思いますが、落ち着いて投資先を探すことができるよう、ここで挙げる6つのポイントを最低でも理解しておきましょう。

海外不動産投資に共通する運用のポイント

まず、海外不動産投資に共通する運用の3つのポイントについて解説します。

1つめは、海外不動産に投資することで、理想的なアセットアロケーション(資産配分)を実現できることです。私たち日本人は、どうしても日本国内の資産に投資しがちですが、世界の経済規模(GDP)から見れば日本の割合は5.5%ほどにすぎません。世界の経済成長の果実を受け取るには、世界規模で資産配分を検討するのが合理的といえます。

2つめは為替リスクの存在です。国内不動産投資の場合、家賃収入であるインカムゲインと値上がり益(売却益)であるキャピタルゲインを第一に考えることになります。一方で海外不動産投資の場合には、この2つの収益に為替の変動も加味する必要があります。

例えば、1ドル=110円の時にアメリカで10万ドルの不動産を購入したとすると、1100万円の投資を行うことになります。これが、不動産価格が11万ドルに上昇した場合、1ドル=110円のままだと日本円での価値は1210万円ですが、1ドル=115円と円安に振れると1265万円となります。これにインカムゲインである家賃収入も加われば、その差はさらに拡大することになります。ただし、円高方向に動いた場合にはマイナスの影響を受けることになります。

3つめは、現地の信頼できるエージェントを選ぶことです。経験豊富で、的確なアドバイスをしてくれるエージェントと出会えるかどうかが海外不動産投資のカギです。特に、購入後の管理や売却まで対応してくれるかが重要です。

投資国選び、まずは目的の明確化から

次に、実際にどの国に投資をするかを検討する際に、確認しておきたい3つのポイントを解説していきます。

1つめは、自身の投資目的を明確にすることです。海外不動産投資の目的には、「値上り益」「家賃収入」「タックスメリット(減価償却)」の3つがあると思いますが、自分が何を目的に投資をするのか、しっかり考えてから投資をはじめるようにしましょう。

例えば、値上がり益や家賃が上昇しそうな国・地域を積極的に狙っていきたいのであれば、経済の成長性が高い新興国の不動産に注目する必要があります。 一方、安定的に投資したいという方は、先進国への投資を検討してみましょう。先進国は不動産市場の流動性も比較的高く、法律や制度も整備されているなど、不動産投資を行う上での土壌がしっかりとしているため、新興国よりもリスクを抑えた投資ができます。

2つめは、投資したいと考える国の特有の事情を調べてください。例えば、香港や台湾では不動産価格がかなり高騰しており、表面利回りから借入れの金利を差し引くとマイナスになるといったおそれがあります。そのため、キャピタルゲインでしか利益が期待できないわけですが、そもそも利回りが著しく低いということは既に不動産価格が高いと考えられ、購入するタイミングとしても疑問符が付きます。

また、中国やインドネシアのように、そもそも外国人に不動産の所有権を認めていない国もあります。他にも、外国人投資家に対して何かしらの規制が設けられている例は多いため、事前に確認しておくべきです。さらに、投資国特有という観点では政治リスク、治安、インフラなども考慮する必要がありますし、商慣習も日本と海外では大きく異なることがあります。だからこそ、現地のマーケットに通じたエージェントを選ぶことが大切です。

最低限押さえておきたい経済統計は?

そして3つめは、投資を検討している国の経済状況を確認することです。経済統計には様々なものがありますが、不動産投資を検討する上では、最低でも経済成長率、人口動態(人口ピラミッドなど)、インフレ率は押さえておきたいところです。

まず経済成長率ですが、これは不動産価格と比例するともいわれており、日本でも高度経済成長期には不動産価格も大きく上昇しています。そのため、安定的かつ高い経済成長率が見込める国は、不動産市場における今後の期待度も高いといってよいでしょう。ただし、経済成長率がただ高いからというだけで投資をするのではなく、先に挙げた法律や制度、インフラなどと併せて、総合的に考える必要があります。

次に人口動態ですが、これは最も予測が立てやすい統計である一方で、その国の経済の先行きを占う上では非常に重要です。特に、労働力となり得る生産年齢人口(15歳以上65歳未満)が、今後どうなっていくかには注目するべきでしょう。なぜなら、生産年齢人口に含まれる世代は働き手として所得を得て、それを消費していく、という経済活動の中心にいるからです。この人口が増加すれば消費も拡大し、当然ながら住宅需要も増加する可能性が高くなります。

特にASEAN諸国などでは、今後の住宅需要を担う若い世代が圧倒的に多い人口動態となっているため、将来的な不動産価格の上昇が見込めるほか、安定的な家賃収入も期待できます。ちなみに、日本では生産年齢人口が減少に転じた1995年頃を境に経済は停滞し、家賃も下落傾向にあります。また、中国でも2012年に生産年齢人口が初めて減少に転じており、足元で経済の減速が顕著となっています。

最後にインフレ率に関してですが、経済成長が著しく、人口も増加している国・地域では、物価も上昇傾向にあることが多いです。そのような環境であれば、不動産価格や家賃の継続的な上昇を期待することができます。ただし、その国の経済成長率を上回るような過度なインフレは、経済にとってマイナスの影響を及ぼしますので、2~4%程度の適度なインフレ環境の国を選ぶべきでしょう。

慣れない海外不動産投資で不安を覚える方も多いと思いますが、今回ご紹介したポイントを参考に事前準備をして、海外不動産投資を成功させましょう。

(提供: フォーランドリアルティネットワークジャパン

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