2015年12月31日にASEAN経済共同体(AEC)が発足しました。これは、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟の10ヶ国が域内の貿易自由化や市場統合を行い、経済成長をめざす枠組みです。ASEANにおける域内人口は欧州連合(EU)を上回る6億2,000万人。域内総生産は2兆5,000億ドル(約280兆円)ともなる巨大な経済圏であり、今後の発展が期待されています。
これに先駆けて、2015年にはベトナムのホーチミン、カンボジアのプノンペン、タイのバンコクを結ぶ国際幹線道路「南部経済回廊」が完成しました。ラオスからタイのバンコクをつなぐ鉄道新線の起工式も12月に行われています。今後こうしたインフラ整備のほか、域内におけるサービス分野も開放され、人の移動の自由化も進んでいくことでしょう。なにより平均年齢が20歳台という、若さあふれる人口構成もASEAN経済共同体の魅力要素のひとつです。
さて、このように今後の期待が高まる東南アジアですが、今回はその中でも中心的な役割を担うことが期待されるタイの経済状況について触れていきたいと思います。
ASEANで最も車が売れている!
「東南アジアで日本車が売れている」ということをご存知でしょうか。そのシェアは驚きの9割。最近ではいわゆるロウアーミドル層(中流下位)でもマイカーに手が届くようになってきているといいます。
中でも経済成長著しいタイは、ASEAN諸国の中で最も車が売れています。そのためか、日本車が占める比率は8割程度と、ほかの東南アジア諸国に比べやや選択肢の幅が広くなっているようです。20代で車を購入することも珍しくなく、この場合はローンを組んで購入するのが主流のようです。もちろん親に買ってもらうといった富裕層も存在します。日本では車離れが進んでいますが、タイでは車を購入する意識が今、非常に強いようです。
また、タイでもスマートフォンが爆発的に普及しています。日本でもおなじみのLINEも、タイのユーザーは3,300万人以上。この数は世界では日本の次に多い利用者数です。
ASEANの中でも一歩先を進むタイは、2000年以降、年平均4%程度のスピードで着実な経済成長を続けており、失業率も1%を切る優等生。そのため、ミャンマーやラオス、カンボジアなど多くの近隣諸国からの出稼ぎ者も多くなっています。それだけASEANの中ではタイが魅力的だということでしょう。
不動産価格も右肩上がり
ASEAN経済をけん引するタイでは、経済成長とともに不動産価格の上昇が起きています。中間所得層の拡大によって住宅需要の増加が見込まれる中で、首都バンコクを中心にタイ不動産の価格は右肩上がりが続いており、例えばコンドミニアムの価格は、リーマンショックの影響で一時的に落ち込んで以降、直近7年間は年平均6~7%のペースで上昇が続いています。
また、国内外の有力企業が拠点を構え、外国人駐在員も多く生活するバンコクであれば、安定的な賃貸需要を見込むことができます。平均的な表面利回りで6~7%、立地によっては10%前後の利回りを実現している物件も多くあるなど、その良好な賃貸環境も投資マネーの流入につながっています。
特に投資家からの人気が高いのが、6万人超に上る在留邦人の大半が暮らしているバンコクの日本人居住区「スクンビット地区」です。同地区のコンドミニアムでは、居住者の半数以上を日本人が占めることも珍しくなく、人気の物件にはウェイティングリストができることもあります。テナントとして安心感のある日本人をターゲットに賃貸運用できる環境が整っているのは、他のASEAN諸国にはない魅力と言えます。
AECの発足で中長期的な発展が期待されるASEAN経済。その大きな波に乗るためにも、ASEAN経済の中核であるタイの経済、不動産市場には引き続き注目していきたいところです。
(提供: フォーランドリアルティネットワークジャパン )
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