「管理職」はマネジメントの達人である。会議前の根回し、司会進行のような役割から、部下の性格や能力を把握をし、失敗をしても正確なタイミングで、正確な方法で褒め、叱るような細かいパフォーマンスまで要求される。
もちろん、若くして管理職の地位につき、初めて部下を持つ感覚は様々であろう。今までは業務をこなしていれば良かった。しかし、これからは自身の業務と並行して、部下の管理を担う「ジャグリング能力」が試されてくる。
早速、初めて部下を持つことになった若手管理職が心がけるべきことを5つ挙げてみよう。
1.心地よい職場は利益を生む「環境作り」の気遣い
1日の3分の1を職場で過ごす部下達に、働きやすい環境を与えることは必須である。モチベーションが上がるような雰囲気作りや、目標を見失わないよう集中できるスペースをつくる。そして、ストレスを浄化できるような新鮮な空気が流れる職場が望まれだろう。こんな例は面白い。
デスクの上に「自分の大切なモノ」の写真を置くことを義務付けている会社がある。
2.事前に防ぐ危機管理「リスクマネジメント」の実行
「リスクマネジメント」は管理職として最も重要なマネジメントスキルである。予測できるリスクは一早く回避し、予測できないトラブルは対処法を構築としておくことが必要だ。火災などで損害を受ける「財産損失リスク」、海外事業への出資など「ビジネスリスク」、取引先倒産などの「収入減リスク」、部下が事故でケガをするなどの「人的損失リスク」などが挙げられるが、これから大いに学んでいく事柄であろう。
状況によるトラブルシューティングは危機管理の核とも言える。「絶対は絶対にない。」ということだ。
3.部下の最大の能力を引き出す「褒め」のセンス
米国では部下を叱る管理職は「失格」という観念がある。そこまでは行かなくても「褒め」のセンスは磨いておいたほうが良い。まずは「ありがとう」「助かったよ」「君のお陰だ」と言ってみよう。
できれば具体的な内容を交えて「君の斬新なアイデアで契約まで至った」など、素直に素早く褒めることが効果的である。「やって当たり前」という観念はこの際捨ててしまうべきだ。
4.個々の能力や性格を把握する「人マネジメント」の意識
部下の能力や性格を把握し理解するのは管理職の要とも言えるだろう。
パレットの絵具のように、部下の性格や能力も赤だったり白だったりする。どの色を足せば企業の求める色になる得るのか。「良い具合」になるように、部下の能力や性格を踏まえた上で、進捗状況を観察しながら、能力以上の業務を強いているなら調整する必要もある。
個別ミーティングは弱点を補うための第一歩だ。よく話を聞いてみよう。熱を与えるのではなく「光」を与えるのだ。
5.自分が部下を管理しているという「自覚」の確立
管理職においてのビフォア・アフターでは、失うものもあれば得るものも多くあることに気づくであろう。そんな経験も踏まえながら、自分が部下を管理しているという意識に切り替えていくことが大事である。
部下の「見張り番」になるのではなく、仕事に集中できる「環境の管理」、働き過ぎないようにするめの「労働時間の管理」、仕事での功績を軸とする「成果の管理」、精神疾患を防ぐための「健康の管理」そして包括して「人の管理」をするということを自覚しておこう。
たまにはどうだろう。武勇伝にならぬ程度に自身の成功秘話やアイデアシェアするのもよいのではないか?会社の経営方針を部下に伝える傍、部下の考えを上層部に届ければ、風通しの良い風土も出来上がる。
初めて持つ部下に頭を抱えることもあって然りだ。宵越しに「人と屏風は直ぐには立たずか」などど、しみじみ感じることもあるだろう。そうやって、自分の考えを曲げたり、折ったりしなければいけないことも経験するに違いない。しかし、望まれる管理職はいつも部下目線で物事を考えるものだ。そうやって、人を管理することが一筋縄でなないことも学んでいくのだろう。
初めての管理職、賽は投げられた!恐怖は無知からやってくるものであるから、その前に心がけたい項目をしっかり頭に叩き込んでおこうではないか。(トリー・雪香、豪州在住のフリーライター)