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(写真=PIXTA)

マンション空室率は上昇の一途

総務省が5年ごとに実施している住宅・土地統計調査によれば、空き家率は1963年から上昇を続けている。2013年には全国の総住宅戸数6,063万戸のうち13.5%が空き家となった。

首都圏の空き家率は、埼玉県・神奈川県が10.6%、東京都が10.9%、千葉県が11.9%といずれも全国平均より低いものの、それでも1割を超える水準だ。

2013年の関東大都市圏の空室マンション数(共同住宅の鉄筋・鉄骨コンクリート造、鉄骨造)は最大で118万6,000戸だった。この計数には公営住宅や社宅も含まれるため実際にはさらに少なくなるが、マンション空室率が相当な高水準に達していることは間違いない。

こうした中で、足下のマンション市場動向に目を転じれば、売買価格が上昇傾向を維持しているのに対し、賃料水準は東京23区を除き弱含みに推移していることが窺われる。

国土交通省の不動産価格指数(南関東圏マンション)は、2013年1月が99.60、2014年1月が107.50、2015年1月が115.00と3年連続で上昇している。東日本不動産流通機構が調査した首都圏中古マンション成約物件平均価格(平方メートル単価)も、2015年3月から2016年2月まで45万円前後で安定している。

賃料動向は地区により違いがみられる。三井住友トラスト基礎研究所が公表した2015年第4四半期のマンション賃料インデックス(2009年第1四半期=100)は、東京23区が102.55、東京都下が96.23、神奈川県横浜・川崎市が99.77、埼玉県東南部が98.93、千葉県西部が95.66だった。2014年第1四半期以降、東京23区は100を超え上昇基調に転じている一方、他の地区は一進一退を繰り返しており上向く気配は窺われない。

オフィスビル市況は堅調

マンションと比べ、オフィスビル市況は堅調に推移している。都心5区物件の空室率は、2015年4月から2016年3月までで低下傾向にあり、平均賃料もわずかながら上昇している。

また、企業の土地所有・購入・売却等に関する意識は増加傾向にあり、今後は所有が有利であると考えている企業は45.0%となった(国土交通省土地総合情報ライブラリー『平成27年度 土地所有・利用状況に関する意向調査』より)。

鉄道・高速道路など首都圏の交通インフラの整備は着実に進んでいる。11年後の2027年にはリニア中央新幹線の開業も控えている。都心の通勤圏は着実に広がっており、今後も企業の東京一極集中が進む可能性は高く、オフィスビル市況は概ね堅調に推移するだろう。

マンション需要増のカギを握る外国人

出生率の低下により人口減少が続く中で、マンション需要増のカギは外国人が握っている。政府が移民(定住外国人)の受け入れを積極化する方針に転換すれば、居住者人口が増加し必然的に空き家率も低下するはずだ。

政府が移民政策の転換に慎重な姿勢を崩さない状況下では、旅行宿泊者への対応が重要になる。

国土交通省観光庁の宿泊旅行統計調査によれば、2013年から2015年の東京都のビジネスホテル、シティホテルの稼働率は80%を超える水準だった。この2年間で東京都の全施設の宿泊客数も12.7%増えており宿泊需要の大幅な増加を示している。

2015年の訪日外国人旅行者数は1,974万人となった。政府は今後さらに多くの外国人が日本を訪れると目論んでおり、2020年までに年間3,000万人の外国人を呼び込む目標を立てている。こうした中で「民泊」に利用される住宅が増えれば空き家率も低下し、マンション市況も上向くだろう。

「民泊」も含めた外国人の住宅需要が大きく増加しなければ、首都圏の不動産市場ではマンションよりオフィスビルやホテル・商業施設の人気が高まると予想される。マンションは立地、間取り、設備などに恵まれた優良物件とその他物件の二極化が進むのではないか。(提供: 百計オンライン

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