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(写真=PIXTA)

東京都における2016年の地価公示価格は、1平方メートルあたり平均89万4,071円。前年から見ればプラス1.67%と増加率はやや縮小気味ではあるものの、地価は順調に上昇してきている。しかも、これはあくまで東京都全体の話。東京23区、特に千代田区や中央区、港区においては、前年比でプラス10~20%程度上昇している箇所もある。

例えば、東京都中央区銀座4-5-6では、1平方メートルあたりの地価が4,010万円と前年比18.64%も上昇。これは公示価格の過去最高金額であり、2008年のミニバブル時の1平方メートルあたり3,900万円を優に超えており、訪日外国人観光客の爆買いなどの効果は地価にも影響しているようだ。

こうした地価上昇により、不動産業界は大盛況となっている。これは何も銀座だけの話ではない。丸の内や南青山、虎ノ門など都心の地価が大きく上昇している地点には海外投資家も注目しており、今後もこうした地域で更なる上昇が期待できるといってよいだろう。

特に丸の内に注目

地価というとどうしても日本で最も高い「銀座」に目がいってしまうが、今注目したい場所としてぜひ挙げたいのが「丸の内」だ。例えば千代田区丸の内2-4-1では、2016年の公示地価において、全国で3番目の商業地地価となる1平方メートルあたり3,280万円をつけている。全国の商業地地価のトップ10に2ヵ所ランクイン(大手町を含めれば4ヵ所)しており、銀座や新宿と遜色のない地価といえる。

このように、丸の内の地価も順調に推移してきているが、中でも丸の内エリアの開発で絶好調なのは三菱地所である。三菱地所は「丸の内の大家」とも呼ばれるほど丸の内の開発事業に携わっており、皆さんもご存じの丸の内ビルディング(通称:丸ビル)や新丸の内ビルディング(通称:新丸ビル)、丸の内オアゾなどの開発を手掛けている。今後も丸の内周辺では再開発が予定されており、更なる地価上昇が期待できるほか、魅力のある街づくりがなされることであろう。

ここで気になるのが、なぜ三菱地所がここまで丸の内の開発に携わっているのかということだ。三菱地所はこうした開発をどのように進めてきたのだろうか。

荘田平五郎が岩崎彌之助に提言したことがきっかけ

三菱地所による丸の内の開発は、古くは明治時代に遡る。このきっかけを作ったのが荘田平五郎である。

荘田平五郎とは、初期三菱グループの経営戦略に携わった人物であり、東京海上保険会社、明治生命保険会社の設立にも関わっている。また、百十九国立銀行を傘下に入れて東京倉庫会社を設立するなど、経営者としての手腕をいかんなく発揮した。

明治22年、荘田は英国の造船業界などの視察のためにロンドンを訪れる。ロンドン滞在時に見た新聞のコラムに「日本政府、陸軍の近代的兵舎建設のために丸の内の練兵場を売りに出すも買い手つかず」とあるのを見て、「日本にもロンドンのようなオフィス街を建設すべきだ」と閃き、三菱2代目総帥である岩崎彌之助に「丸の内、買い取らるべし」と電報を打つことに。

これがきっかけとなり、当時の東京市の年度予算の3倍ともなる金額(128万円)、しかも相場の2~3倍ともなる金額で、丸の内周辺およそ10万坪を買い取ることになったのである。

これには陸軍の予算を確保するためという理由があった。

日本政府としては、当時丸の内にあった陸軍の用地を売却し、それをもとに近代的な兵営を建てるための予算が必要であったことから、どうしても金額を下げるわけにはいかなかったのだ。とはいえ、丸の内は宮城(皇居)の目の前であり、雑然とした街になっては困るということもあり、一括して売却することを政府も希望したのである。

熟慮の末、岩崎彌之助は決断した。これにより、近代日本におけるビジネス街をつくる基盤ができあがったのである。そして、現在の整備された美しい街並みをつくりあげていくことになる。

これは三菱地所が一手に引き受けたことが大きいといえる。今後も丸の内は更なる発展を遂げていくことであろう。 (提供: 百計オンライン

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