アジアと英国との間で情報共有などを進めることでFinTechを一層、促進させるための国際プログラム「FinTech Bridge」が設立されることになった。英大蔵省が5月11日に発表した。英国はシンガポールとの提携を手始めに、国境を超えたFinTechの発展を目指す。
昨年は66億ポンド(約1兆408億円)の利益をあげ、現在労働力が6万人にまで膨れあがった英国のFinTech産業だが、米国やアジアの勢力が急速に増し、発展速度では大きく差をつけられ始めている。
今回のプログラムを通してアジアへ進出することで、「世界のFinTech中心地」の座を維持しようというのが真の狙いのようだ。
強力2カ国が提携 FinTech先進国の座を不動のものに
発表当日にロンドンで開催された設立イベントにはシンガポールから関係者を迎えてFinTech Bridgeの始動を祝うとともに、金融行動監視機構(FCA)とシンガポール金融管理局(MAS)間で規制協力協定が結ばれた。
この協定によって両国のFinTech企業の海を越えた事業展開が容易になるほか、規制機関における金融サービス情報の共有手法などが明確になる。
「FinTech Bridge」が英国にとってはもちろん、設立パートナーとなったシンガポールにとっても大きな恩恵をもたらすことは間違いなさそうだ。
過去10年間にわたり国家単位の事業改革に220億ドル(約2兆4030億円)を投じているシンガポールは、以前からFinTech産業をリードしてきた英国に興味を示しており、多くのスタートアップが海外進出を視野に入れて活動している。
また英国側からも技術や知識を共有するパートナー候補として、「世界一事業をしやすい国」として知られるシンガポールを指名する声があがっていた。
ハリエット・ボールドウィン英経済書記官は、シンガポールとの提携が両国の確固たる経済に基づいたものであるとし、「今回の提携関係はFinTech先進国を目指す両国にとって新しいステップとなる」とコメント。
一方MASのジャクリーン・ロー副長官は、「世界中で最も急成長をとげているシンガポールFinTechは、アジア進出を狙う英企業にとっては理想的な入り口だ」と、英FinTechの受け入れを全面的に歓迎すると同時に、シンガポールFinTechの英進出にも大きな期待を抱いていることを示唆した。
「FinTech Bridge」が英、アジア間のFinTech促進を目的にしていること、「初回パートナーとしてシンガポールを選んだ」という点を英政府が強調していることから、今後ほかのアジア国との提携関係も大いに期待できる。( FinTech online編集部 )
【編集部のオススメ記事】
・「信用経済」という新たな尺度 あなたの信用力はどれくらい?(PR)
・資産2億円超の億り人が明かす「伸びない投資家」の特徴とは?
・会社で「食事」を手間なく、おいしく出す方法(PR)
・年収で選ぶ「住まい」 気をつけたい5つのポイント
・元野村證券「伝説の営業マン」が明かす 「富裕層開拓」3つの極意(PR)