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(写真=PIXTA)

不動産ローンを返済しているオーナーが急に病気になったり、亡くなったりした場合、通常はその家族がローンを返済していくことになります。しかし、もしもオーナーが不動産ローンを契約する際に「団体信用生命保険」に加入していれば、家族がローンを返済する必要はなくなります。

今回は、この団体信用生命保険の仕組みと内容について確認してみましょう。

不動産ローンと団体信用生命保険の関係

不動産ローンの貸付機関には、民間の金融機関と住宅金融支援機構(フラット35)の2つがあります。この貸付機関によって、団体信用生命保険(団信)の扱いが異なります。

まず、民間の金融機関の場合は、団体信用生命保険への加入が義務付けられています。つまり、団信に加入できないと民間の金融機関からは、不動産ローンが借りられないということです。

団体信用生命保険に加入するには、他の生命保険と同様に健康状態の告知が必要です。仮に年収などの条件をクリアしていても、過去に大病を患った経験があると加入できない場合があります。このような方のために、「ワイド団信」というものもあります。ワイド団信は健康上の理由で、通常の団信への加入が難しい人に対して作られた保険で、通常の団体信用生命保険よりも保険料が割高になっています。

一方、フラット35は、団体信用生命保険への加入は義務ではなく、任意です。しかし、フラット35でも融資を受けている人の90%近くの人たちが、団体信用生命保険に加入しています。このフラット35の場合の団体信用生命保険は「機構団信」と呼ばれています。

なぜ加入が任意のフラット35でも、機構団信を利用している人が多くいるのでしょうか。それは、オーナーが万が一病気になったり死亡したりした場合でも、団体信用生命保険に加入していれば保険金で住宅ローンの残債が精算できるので、遺族に迷惑がかからないからです。

したがって、民間の金融機関の住宅ローンでもフラット35でも、万が一に備えて団信に加入しておくべきだということです。

団体信用生命保険のメリット

団体信用生命保険に民間の金融機関で加入する場合は、保険料をローンの金利に含んで計算してくれるので、別途で支払う必要がありません。また、インターネット銀行では、団信の負担が無料という銀行も出ています。このため、団信は通常の生命保険料よりも保険料の負担が割安になるというメリットがあります。

また最近では、3大疫病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)や8大疫病にかかった場合も保障する特約が付いているものも出てきています。

民間の金融機関では毎月の金利払いに含まれるのに対して、フラット35で利用できる機構団信は年払い方式です。毎月の返済とは別に、年に1回、別途支払いが必要になります。フラット35の場合でも、民間金融機関の場合と同様に、特約により3大疫病への保障が付いているものもあります。

そして、団体信用生命保険の保険料は、払い込み初期の段階では負担が大きいですが、返済が進むにつれて保険料が少なくなるという逓減型の負担となっています。

具体的には、機構団信で返済期間35年、借入額1,000万円の場合、1年目の保険料は3万5,800円ですが、15年目になると2万5,700円に減ります。

団体信用生命保険は、民間の金融機関とフラット35で支払形式が異なるので注意して下さい。

団体信用生命保険と生命保険の見直し

団信は、不動産のオーナーが死亡したり、高度障害となったりした場合に、不動産ローンの精算をしてくれます。言い換えると、通常の生命保険の代わりにもなる保険ですので、団信に加入していて、さらに別の生命保険にも加入している場合は、生命保険の保障内容を再確認することをお勧めします。

保障内容が重複している場合は、2重に保険料を支払っているようなものです。その場合は、生命保険の解約を検討しても良いかもしれません。解約金はローンの繰り上げ返済や不動産経営の運転資金に充てられます。

まとめ

団体信用生命保険は、不動産オーナーが死亡したり、動けなくなったりした時に備えるためのものであり、遺族にローンの残債を負担させないためにも、加入しておくべきです。別の生命保険に加入している場合は、保障内容を確認して、ムダが無いように見直すことをお勧めします。

もちろん、普段から健康面に留意して、団信を利用するような事が起きないようにすることが、何よりも大切です。(提供: 不動産投資ジャーナル

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