家事代行サービスに政策の追い風が吹いています。安部内閣はアベノミクスの「成長戦略」における具体策の一つとして、「女性が働きやすい環境を整備する」というアクションを掲げています。また、国家戦略特区における外国人労働者の受け入れ拡大を検討しているとのニュースも報道されており、外国人家政婦の導入も検討しているとのことです。家事代行サービス業界のパイオニアとして存在するのが「株式会社ベアーズ」です。
株式会社ベアーズは、創業者の高橋ゆき専務取締役が香港駐在時に外国人家政婦に助けられた経験から1999年に立ち上げた業界のパイオニア的存在です。ベアーズでは2009年に既にフィリピンで合弁会社を設立し、現地での研修を始めています。外国人家政婦の受け入れが可能になればすぐに30-50人のフィリピン人家政婦を日本に派遣することが可能な体制をひいているとのことです。
高橋氏は、「外国人家政婦受け入れに合わせて企業や利用者への助成も必要である。」との指摘をしています。ベアーズの現行サービス料金は2350円/1時間が最低であり、スタッフの多くは主婦で最低で時給1000円を払っていることです。もし外国人家政婦を使ったとしても、最低賃金が適用されるため、特に最低賃金が869円/1時間と高い東京都では、人件費の引き下げ余地は限られるとのことです。
家事代行サービスは市場および需要が伸びています。この業界で古くからあるプレイヤーとしては、ニチイ学館やダスキン等が古くからサービスを提供しており、ニチイ学館の売上は2013年3月期で約12%増。ダスキンの家事代行サービスは2013年3月期で約5%の売上増です。ただし両社ともに主力事業である介護事業、掃除事業との相乗効果が見込める領域での参入で、売上全体に占める割合は低くなっています。また、需要が伸びているのに加えて、参入障壁が低いことや他の業界との相乗効果が見込めやすいことから新規参入も増えています。特に鉄道会社が子会社やフランチャイズ形式での新規参入が相次いでおり、関東では東急や京王、関西では近鉄、九州では西鉄といった鉄道会社が、ここ2,3年で軒並み参入しております。今後競争の激化、利用コストの引き下げが予想されます。
家事代行業界は人件費が利用料金に跳ね返る構造で、他の事業との人材の有効活用ができない専業プレイヤーはどうしても人件費の面で不利です。株式会社ベアーズが先駆けて外国人家政婦を活用したいと考えているのは、コスト面で優位に立つことが重要だという認識の表れではないでしょうか?