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ミクシィの株価が息を吹き返してきました。一時は1,064円まで落ち込んでいた株価が昨年暮れに急反発し、その後、一時下がったものの、再び8,000円を超えてきました。5月14日には2015年3月期の業績が過去最高益を更新する見通しという発表を行い、翌日には6日連続の上昇、その後も上げ幅を拡大しています。スマートフォン向けネイティブアプリ「モンスターストライク」が4月27日時点で利用者数600万人を突破し、今期の業績にも寄与する見通しです。

1,000円を割るかもしれないという時には、警戒して誰もが避けていた銘柄でしたが、1つのゲームのヒットでおよそ8倍もの株価となりました。一時期のガンホーを思わせる株価の値上がりぶりです。こうなるとスマートフォン向けゲームソフト会社に注目しておきたくなるというものですが、直近の決算後の株価の推移を見てみますと、ミクシィ以外のスマートフォン向けゲームソフト会社は軒並み下落している状況です。特に直近も好決算だったにも関わらず株価が減少したコロプラをみていますと、個別企業の好調不調に関わらず、国内のスマートフォン向けゲームソフトのマーケット全体がある程度成熟した状況になっていると言えるかもしれません。ただ、今回のミクシィのように株価のV字回復を実現するような『一発当てれば業績が絶好調』といった例もありますので、まだまだ投資対象先として目が話せいない業界と言えます。

では、どのようにして大ヒットゲームを出すであろう会社を見つけていけば良いのでしょうか。一つ目の方法は、これから大ヒットゲームが出そうな予兆となる動きを行っている企業に注目することです。最近のスマートフォン向けゲームソフトは開発に1年、マーケット(正確にはApp StoreやGoogle Playにいるユーザー)調査及びマーケットに合った商品にゲームジャンルと社内開発体制をアジャストさせていくのに少なくとも1年程度はかかっています。そう考えると、ウェブ版のソーシャルゲームの全盛期を支えた一方で、現在のマーケットの主流であるApp StoreやGoogle Play等のネイティブマーケットのへの対応が遅れ、ここ1年以上株価が低迷しているディー・エヌ・エー<2432>やグリー<3632>等のソーシャルゲーム企業も、そろそろ大きなヒットタイトルが出てくるかもしれません。一時期の爆発的な成長を遂げた上記2社を含むソーシャルゲーム企業には大ヒットを生み出す能力を秘めた人材が揃っていると考えられるので、一度上記の観点で過去の決算説明資料を見直されてみても良いでしょう。

また、最近のApp StoreやGoogle Playの売上げランキングデータを見ておりますと、これまでのゲーム業界と同様の「カジュアルに遊べるゲームか、コアなユーザーが満足するゲームかの2極化」及び「IP(Intellectual Property:アニメ等の版権)化」が進んでいるように思えます。そういった意味で、LINEを始めとするライトなユーザーを多く保有するプラットフォームを運営している企業の自社サービスとApp Store、Google Playの両展開による収益最大化、あるいはセガサミーホールディングス<6460>やカプコン<9697>等元々表現力の高いコンソールゲームを開発してきた会社の強みがより際立つマーケットになることが予想されます。また、多くの版権を保有し、先日リリースされたドリコム制作の『ONEPIECE TREASURE CRUISE』が早々にApp Store10位台を記録し、保有するコンテンツのパワーの大きさを知らしめたバンダイナムコホールディングス<7832>や先日ドワンゴとの経営統合を発表したKADOKAWA<9477>等も注目です。

ただ、上記についてはある程度業界知識やトレンドを定期的に掴んでおく必要があり、かつ最終的には『当たった/当たらなかった』といったギャンブルに近い要素も含まれるため、高い精度を持って予測することが非常に難しいと考えられます。そのためにも投資の基本に戻ってPERやPBRをチェックしておきたいところです。これが2つ目の方法です。ゲームのみを扱っている銘柄はPERもPBRも割高になっています。そこで注目をしたいのが「スマホ向けゲームも」やっている企業です。たとえばサン電子<6736>です。パチンコ中心ですが情報通信機器を再強化し、ゲームソフト開発にも取り組んでいます。安定して稼げる事業があるうえに、ゲームで一発狙うという戦略が立てられ、安心して保有することができるのではないでしょうか。PER11.07倍、PBR1.46倍(2014年5月20日現在)と他のスマホゲーム開発会社と比べるとかなり割安と言えます。「ゲームが当たる企業はどこか」というよりも「ゲームが当たらなくても収益が上げられている企業はどこか」という視点が結果的に大きな利益をもたらすことになるとも考えられます。

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Photo: ミクシィHP