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(写真=PIXTA)

資金調達は、経営者にとっては重要な課題となります。売上や利益を上げることと経費削減を工夫することは従業員や外部に依頼できても、資金調達は経営者でなければできません。そのため、経営者は起業前から常に「資金調達をいかに潤滑に行うか」を考えなくてはならないのです。

資金調達を一人で行うのは大変なことです。そのため資金調達を検討する際は、資金調達に強い税理士を選ぶことをおすすめします。税理士を上手に選べば心強い味方となります。なぜなら、税理士は常日頃から経営者の相談に乗り、会社の状態を月次決算でチェックするのが業務だからです。ただし、税理士も千差万別です。資金調達に強い税理士を選ばないと、いくら時間をかけて準備をしても徒労に終わってしまいます。

では、どういう税理士を選ぶと資金調達の実現可能性が高まるのでしょうか。

資金調達に税理士は欠かせない!選ぶときのポイント3つ

1. 資金調達を意識した決算書を作成する

銀行に融資を依頼する際、当然のことながら決算書は重要なチェック項目となります。同時に、このときの精査の内容次第で、融資依頼をした企業は銀行内でランク付けされます。ランク付けによって融資の有無だけでなく、利息も左右されます。全ての決算書項目が調べられますが、特に「役員貸付金」「仮払金」「立替金」の有無や「売掛金」「未収入金」の回収状況、「短期借入金」の中身などは融資する側にとって重要なチェックポイントとなります。

更に、決算書と勘定科目内訳書の数字が合っているかどうかも「日頃からきちんと財務管理を行っているかどうか」の判断基準です。もし資金調達に強い税理士ならこういった項目は疎かにせず、毎月、毎年の決算できちんと処理し、不明瞭項目をゼロにします。

2. 無意味な節税を行わない

節税は経営者にとってメリットのある項目です。節税した分、キャッシュに余裕ができます。ただし、資金調達を考慮する上では、節税はむやみやたらと行えばいい項目ではありません。なぜなら一般的に、納税額と融資の受けやすさは比例するからです。

銀行の融資評価ポイントの一つとして、「儲かっている企業かどうか」というのがあります。それは、貸借対照表の純資産の部である「繰越利益剰余金」で判断します。繰越利益剰余金とは、創業から現在までの「税引き後利益」の積み重ねです。節税ばかり行ってきた企業ならば、「赤字または税引き後利益が少ない」=「繰越利益剰余金がない、あるいは少ない」ということになります。裏を返せば、繰越利益剰余金が大きければ大きいほど、「毎年利益をきちんと出してきた」ということの表れでもあります。

資金調達に強い税理士ならば、これを念頭に節税と納税のバランスをとるでしょう。節税するにしても、もともと行う予定だった社員旅行の予算額を少し多めにするなど、本来の経営の流れに沿った策を行うはずです。

3. 資金調達のノウハウを豊富にもっている

「資金調達」というと、「大手銀行からの融資」をイメージすることが一般的です。しかし実際には、金融公庫や地銀、商工組合中央金庫、中小企業事業等からの融資、助成金の受給なども含まれます。また、融資は「借りられれば後々の使い道は自由」ではありません。融資する側にとっては、貸した後の使途もチェック項目となっています。設備投資のために融資した資金を通常の経費として消費してしまっては、次の融資が難しくなることもあります。

資金調達に強い税理士ならば事業計画書の作成時など、きちんと経営者に融資の目的や将来の使い道、現状などをヒアリングし、その状況に沿った調達先の紹介や検討を行います。つまり、融資する側・される側にとってもムリやムダがない調達方法を提案できるのです。

「資金調達」は企業経営には欠かせない

先述の通り資金調達は、売上や利益と並行して経営者が常に意識すべき項目です。資金は会社の血液であり、常に流動させるだけの余裕を手元に残しておくことが事業を軌道に乗せるためのコツとなります。同時に、財務諸表は企業の資金状況をリアルに反映しません。よく言われる「黒字倒産」は、その典型例です。損益計算書上の業績がいくらよくても、仕入や経費に回す資金が不足していれば経営はたちまち行き詰まってしまいます。

「起業して10年後も続いている会社は10%前後」と一般的に言われています。起業して経営を軌道に乗せ、かつ、10年20年経営を維持するためには、資金調達とそれに伴うパートナーとなる税理士を選ぶことが重要といえます。(提供: TRUSTAX

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