多くの投資家やアセットマネージャーがブロックチェーンの普及を予期する一方で、真新しいテクノロジーへの対応に尻込みしていることが、米ファイナンシャルサービス会社ステート・ストリート・コーポレーションの調査から判明した。

全般的に、投資家よりもアセットマネージャーのほうが“改革”に戸惑いを見せており、調査に協力した50人のうち78%が「ブロックチェーンの知識を深める必要性を感じている」ほか、81%が「ブロックチェーンの脅威を感じている」と回答している。

ブロックチェーン改革にともない何らかの支援を受けているのは、全体のわずか7%だ。

セキュリティー面が最大の懸念

この調査は欧米アジア各地で資産管理、民間退職年金基金、公的年金基金など、幅広い分野において活動している投資家とアセットマネージャー合計100人を対象に、今年1月に英オックスフォード・エコノミクスの協力を得て実施されたものだ。

投資家の74%が「今後5年間のうちにブロックチェーンは巨大化する」と回答しているのに対し、同様の見解を示したマネージャーは42%にとどまっている。

ブロックチェーンについての知識という観点からも、78%のマネージャーがプレッシャーにさらされているが、知識を深める必要性を感じている投資家は48%と半数以下だ。

全体的の80%が「ブロックチェーンに最も影響をうけるのはIT分野」で、55%が「(公共ではなく)個々の企業による私用目的になる」と予測している。

ブロックチェーン採用にともなう最大の懸念はセキュリティーで、「今度どのような手段で安全性が確立されるか心配だ」と回答したのは90%にもおよぶ。

ステート・ストリートのアントワーヌ・シャゴーリーCIOは、機関投資家の多くが近い将来ブロックチェーンが身近なものになると認識しているが、「正しい知識を身につけるための教育が必要であることが調査結果で明白になっている」と結論づけている。( FinTech online編集部

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