日経平均予想レンジ 16,417~16,908円
今週は、消費増税先送り観測や景気刺激策への期待感、111円台の円安進行を好感し、日経平均は5連騰から3月高値水準まで上昇した。その後、消費増税延期発表での出尽くし感や108円台の円高進行が市場心理を冷やし、16,500円台前半まで押し戻された。
国内の焦点
安倍首相は、来年4月の消費税率10%への引き上げを2019年10月まで2年半再延期する方針を正式表明した。そのうえで、増税再延期の是非について「参院選で国民の信を問いたい」と述べた(6/22公示、7/10投開票)。今秋の臨時国会では、財政再建の旗は降ろさず、大規模な経済対策を打ち出し、景気の再浮揚を狙う方針。
市場では、秋に組み込まれる経済対策の具体的な内容が示されず、失望感を誘った。参院選では、アベノミクスの真価が問われるだけに、実効性のある成長戦略を示されるかが焦点となる。
海外の焦点
一方、米国では週末発表の5月雇用統計が注目される。イエレンFRB議長はハーバード大の会合(5/27)で「想定通り成長が加速し雇用改善が続けば、数カ月以内に利上げをするのが適切だ」と名言した。ただ、英のEU離脱の是非を問う国民投票(6/23)を控えている。
直近の英世論調査ではEU離脱派が残留派を上回ったとの報道もあり、離脱すれば世界経済にとって深刻なリスクが想定される。それだけに、FRBはこの結果を見極めて、7月の会合で利上げを検討する観測が強まっている。
また、WTI原油価格は50.21ドルの7カ月ぶり高値(5/26)に進んだあと伸び悩んでいる。6/2のOPEC総会で生産目標に合意できず増産凍結は見送りとなった。投機筋は先物ポジションを35万枚に積み上げたことで、現状はリスクオンに傾いている。調整売りに転じると株式やドル相場への影響が考えられ、視野に入れておく必要はある。
来週の株式相場
テクニカル面では、17,000円の節目を抜けもち合い放れが期待されたが、押し戻され再びレンジ内のもち合いに逆戻りした。しかし、2/12と4/8安値を結んだ下値切り上げトレンドは崩れておらず、弱気シグナルは点灯していない。ただ、16,500円の節目を割り込むと16,000円が下値目処として意識されるだけに、留意しておきたい。
以上、来週の相場は政策期待を支えに自律調整一巡からレンジを見極める局面と捉えている。日経平均のレンジは、上値は6/1の窓埋め16,908円が意識され、下値は5/23安値16,417円が目処。
伊藤嘉洋
岡三オンライン証券
チーフストラテジスト