東京のオフィスビルマーケットの現況
日銀が導入したマイナス金利の余波は、不動産市況にも及んでいる。不動産市況のバロメータであるREIT市場は発表当日大きく値を上げ、2月単月では記録的な外国人の買いが入り、大幅に値を上げた。その後落ち着いた動きで推移しているものの、REIT全体では2016年4月25日には1,970ポイントを付け、4月最終週の日銀会合をにらみ、活発な売買が行われている。
好調なオフィスREITの源泉は、オフィス賃料の上昇と空室率の低下だ。
オフィスの分譲と賃貸のメリット・デメリット
好調な賃貸オフィス需要だが、もし、あなたが経営者だとしたら、オフィスを借りるのではなく、買うという選択肢を聞いてどう思うだろうか。
個人住宅を探すときに「賃貸」か「購入」のメリットを比較検討するのは一般的だが、オフィスビルに関してもその選択肢がある事はあまり一般的ではないかもしれない。さらに購入となると、ビル一棟購入というイメージを持つかもしれないが、最近はオフィスを区分所有することが注目されている。
まず、オフィスを「借りる」ことと「購入(所有)する」ことのメリット・デメリットにはどんなものがあるのか比較してみよう。
● 購入のメリット
・月々の支払が会社の資産に変わる
・返済が進むにつれて資金調達がしやすくなる
・企業としての信頼性向上
● 購入のデメリット
・初期投資コストの増大
・事業規模の拡大縮小への対応
● 賃貸のメリット
・初期投資コストの軽減
・所有に比べ、容易に移転や拡張縮小ができる
● 賃貸のデメリット
・資産として何も残らない
・事業している限り永遠にコスト発生
・オーナー都合による建物を利用する上での制限がある
中長期的には分譲がお得
ここまでオフィスの購入と賃貸とのメリット、デメリットをあげてみたが、一番気になるのはファイナンス的にどちらが得になるのかという点ではないだろうか。
中長期で考えた場合、一般的にはローンを活用して物件を「買う」ほうが、「借りる」よりも年間支払総額は低くなる。
更に、ローン返済終了後には負債の無い資産が残る。
また、不動産を保有することで銀行に対する与信が上がるため、借り入れが起こしやすくなり、必要な際には売却可能資産として本業に何ら影響のない優れた資産として活用することも可能だ。
しかし、将来の事業が拡大する、もしくは縮小するときに、購入したオフィスをどう扱えばよいのか気になるところだ。この点も、区分所有ならば、一棟所有では難しいオフィスの縮小や拡大が容易である。
例えば、移転や事業縮小の際には他社へ賃貸することができるし、移転に伴って所有物件を売却する場合も、セカンダリーマーケットの充実により、早期の売却が可能になっている。
もう一つ気になる点はビルの維持管理だが、これは管理組合が行う。購入時に30年間の長期修繕計画を立てており、分譲マンション同様に月々の管理費・修繕積立金を負担する事で、共用設備はもちろん、専有部内にあるトイレや給湯室などの水廻り設備、部屋内の空調機器も管理組合の資産持分として管理運営するのだ。
これにより、オーナーによる突発的な出費負担による運用リスクを排除し、本業に専念する事が可能になる。
住居の賃貸と分譲とほぼ同じ仕組みが、オフィスにも当てはまるのだ。オフィスは借りるものという先入観を一度捨てて、購入するという選択肢も考えてみてはいかがだろうか。(提供: 百計オンライン )
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