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FINNOVASIA(写真=筆者)

「THE FUTURE OF FINTECH IN ASIA」(アジアにおけるフィンテックの将来)と題するFinTechイベントFINNOVASIAが5月30日、香港のサイバーポートで開催された。主催者発表では各国からの参加者は500人超、スピーカーは18カ国45人となり、アジアの国際金融の中心である香港に相応しい活気ある催しとなった。

本イベントに日本から参加した、渥美坂井法律事務所・外国法共同事業からのレポート。

世界で知られていない日本の現状 まだ少ない海外への情報発信

前夜祭として、29日に日本のFinTech関係者によるJapan FinTech Nightが、新しくオープンした起業家向けサロンMettaで開催された。急きょ企画されたイベントであったが、開催地香港はもちろん、英国、米国、中国、中国、東南アジアなどから100人弱が参加した。

Japan FinTech Nightの様子(写真=筆者)
Japan FinTech Nightの様子(写真=筆者)

FinTech協会真田紀子氏、お金のデザイン北澤直氏、電通国際情報サービス伊藤千恵氏、当事務所鈴木由里より日本のFinTechの動きを紹介し、続いて三菱UFJフィナンシャル・グループの藤井達人氏も参加してパネルディスカッション形式での質疑応答が行われた。

各国からの参加者からは途切れることなく質問が投げかけられ、イベント終了後も多くの参加者が交流を求めて会場に残った。日本のFinTechの情報を知らなかったという参加者が大半であったが、日本のFinTechのマーケット環境や、参入の可能性を質問し、また日本との連携を求める声の多さが印象的であった。

グローバルな市場の動向と、日本のFinTechが展開する可能性

FINNOVASIAではWebサイトでの告知どおり、紳士クラブのような金融機関の職員から、自由で時にマニアックなスタートアップまでが参加した。藤井達人氏(MUFG)がオープンイノベーションの取り組みを紹介すれば、イーサリアムの創業者Vitalik Buterin氏はブロックチェーンを語った。

各国でのFinTechマーケットの紹介もされた。中国では、これまで借入を行うことが少なかった中間層への貸付が広がるなど、世界的に類を見ないほどにテクノロジーを利用したレンディングや送金のサービスが利用されている。

他方、米国ではクレジットスコアのシステムが広く利用されていることを背景とした、レンディングなどのFinTechサービスが展開されている。このような中で、クラウドクレジット(日本)の杉山智行氏は、アジア各国だけでなく南米、アフリカでのマーケットにも言及し、日本のFinTechのグローバル展開の可能性を各国からの参加者へ伝えた。

InsTech、RegTechによりさらに広がるFinTechサービス

RegTech(レギュレーション×テクノロジー)とは、テクノロジーを利用したコンプライアンスとリスクマネジメントに対するソリューションのことである。例えば、ブロックチェーンを活用したマネーローンダリング防止のための本人確認手続をイメージするとよいだろう。

RegTechのセッションには金融機関や香港証券先物委員会リスク&ストラテジーのヘッドも参加し、海外ではFinTechの一環としてRegTechが次の目玉となりつつあることを感じた。

人工知能やビッグデータ分析などのテクノロジーを利用することにより、年々複雑化するコンプライアンスのコスト負担を低減することができ、データに基づく行動分析により不祥事を防ぐことも可能となる。

例えば、金融機関は監督当局への報告を自動的に行い、監督当局はこれを受けてリアルタイムで金融機関をモニタリングできるので将来の予測も可能だ。これより以前にRegTechがあればリーマン・ショックはなかったのではないかとも言われる。

InsTech(保険×テクノロジー)のセッションの主なスピーカーは、保険会社ではなくコンサルティング企業又はITベンダー企業だ。テクノロジーの利用とビッグデータの収集と分析により、保険の商品が変わる中で、保険業界で今後どのような企業が生き残るかという質問がモデレーターから投げかけられた。

これに対して、複数のスピーカーから顧客満足度の高い企業という回答が挙がった。いかにテクノロジーを駆使することよりも利用者がどのように感じるかということが大切で、シンプルながらもこれがFinTechの本質であろう。(渥美坂井法律事務所・外国法共同事業 FinTechチーム、 FinTech online

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