日本の金融史上初のマイナス金利政策が続いている昨今、普通預金や定期預金の金利は昔と比べわずかで、魅力は以前に比べ薄れている。

かといって株や債券などのリスク性の高い商品ばかりに資金をすべて投じる訳にもいかない。そのような状況の中、元本保証でありながら定期預金と比べて金利が高い「仕組預金」に注目が集まっており、ネット銀行が力を入れている。

なぜ「仕組預金」は定期より金利がいいのか?

仕組預金とは、通常の定期預金に比べて金利が高い商品だ。

なぜ金利を高く設定できるかというと、オプション取引というデリバティブ(金融派生商品)を組み込んでいる為だ。こう聞くと難しそうに思えるかもしれないが、要は満期まで持っていれば元本は保証される。

定期預金に比べると金利が高い仕組預金であるが、定期預金のように違って、お金を預けた段階では最終的な「預け入れ期間」が決まっていない。

住信SBIネット銀行の仕組預金「プレーオフ」には、金利が一定のフラット型と、上がっていくステップアップ型の2種類がある。

フラット型は最短1年、最長10年の商品で金利は固定されている。2016年6月29日現在の金利は年0.20%(税引後、年0.159%)。一方のステップアップ型は、預入期間を銀行が延長すれば延長するほど金利が増える商品で、現在は年0.05%(税引後、年0.039%)から最大年0.50%(税引後、年0.398%)の金利となっている。

預入期間は最短1年から最長10年までと決まっており、住信SBIネット銀行が預入期間の延長か満期かを毎年決定する。ここで注意が必要なのが、仕組預金は銀行が満期を決定するまで原則途中解約できないということだ。しかし途中解約しない限り元本は保証される。

そしてこの住信SBIネット銀行の仕組預金「プレーオフ」は円建てなので、預金保険が適用される。万が一、銀行などが破たんしても元本と、利息のうち一定額(利息の上乗せ部分は保護対象外)が保護されるので、もしもの場合も安心だ。

リスクを踏まえた購入時のポイント

原則として満期まで持っていれば元本割れはしない仕組預金だが、逆にいえば途中解約をしてしまうと元本割れをしてしまう可能性が非常に高くなるので、必要になるかもしれない資金は預けないほうがいい。リスクを踏まえて満期まで預けることが可能な、余裕資金の一部を仕組預金で運用するのが望ましいだろう。

特に、満期日が10年や3年などと確定しておらず、1年ごとに満期か延長かが決められることは覚えておきたい。このため、一般的な3年定期や10年定期との比較はふさわしくないかもしれない。

実際に住信SBIネット銀行の「プレーオフ」の場合は9割以上が更新なしであり、わずか1年で満期となっている(2014年7月~15年6月の計41回の募集の集計結果)。これは流動性リスクが低いともいえるが、逆に言えば金利が上がってこなかったということでもある。

しかし見方を変えれば、通常の銀行の1年定期預金の金利が0.01%前後であることを考えると「プレーオフ」の高金利が際立つのかもしれない。

その他に存在する仕組預金のリスクについても紹介する。仕組預金はその性質上、金利リスクとインフレリスクが存在する。仕組預金で運用している途中で、市場の金利が大幅に上がった場合やインフレが発生した場合に、受け取れる金利は一定だが、金利や物価に対して相対的に受け取れる金利が少なくなる場合があるということだ。

とはいえ、デフレ脱却に苦労し、マイナス金利政策を導入している日本で、急に金利や物価が上がる金利リスク・インフレリスクがどこまで存在するか――。この点も考えて判断したいところだ。

余裕資金を一部投じるなら

今回紹介した仕組預金、住信SBIネット銀行の「プレーオフ」だけでなく、どんな金融商品にもリスクは存在する。仕組預金は、原則途中解約できない点や、預け入れ時点でいつ満期か分からない点はよく考えるべきである。

しかし、余裕資金があり、元本確保のために途中解約できないというリスクを取ることができるのであれば、悪くない高い商品ともいえるだろう。

実際に投資する場合は、金額や自分がとれるリスク範囲をしっかりと考え、自分の投資スタイル・生活スタイルに合っているかどうかで判断しよう。