米国でカード破産が急増していることが、アメリカン・バンカーズ・アソシエーション(ABA)の調査から判明した。

調査によると、クレジットカード発行数は前年から16.3%の増加を見せ、803万枚に達しており、総負債額は10億ドル(約1017億9000万円)を突破する勢いだ。

特にカードローン地獄に足を踏み込むミレニアル世代が目立ち、高度な教育を受けていない非白人系の若い家族の5分の1が、毎月の返済に苦しんでいるという。

リテラシーより人種や年齢が決め手?

「負債層」が年齢、教育レベル、人種などで特定されるとは、ある種の偏見や差別ではないかという声も聞こえてきそうだが、それを立証するに十分な分析結果が、ABAやセントルイス連邦準備銀行を含む様々な調査機関からも報告されている。

これらの調査結果から40歳以下の世帯主は、62歳以上の世帯主より2倍以上も深刻なローン地獄に陥りやすいという結果がでている。

また教育レベルの低いアフリカ系米国、あるいは南米の家族は、教育レベルが高い白人やアジア人よりも、はるかに返済がとどこおる確率が高いことなども明らかになっている。
ほとんどが光熱費、住宅ローンや学生ローンの返済を補うため、足のでた家計費を補うため、そして「自分(達)へのご褒美」にクレジットカードを利用しつづけ、利息が雪だるま式に膨れあがったというパターンだ。

ここで問題となるのは、「クレジットカードが本来は生活を向上させるためのものであり、破たんさせるためのものではない」という点だ。

これらの「負債層」の多くには基本的なリテラシーの概念が欠落しており、計画的な利用や高額な利子、延滞金などに関する予備知識がないーーとの指摘もある。

しかし米国は英国と並ぶ金融リテラシー大国として、学校教育にカリキュラムを組み込んでいるにも関わらず、近年は両国ともにクレジットカード地獄大国として負債額が急増中だ。

負債層の多くが移民である事実を考慮すれば、「これらの人々はリテラシー教育を受けていない」と反論することも可能だが、米国際学習到達度調査機関「PISA」の調査から、米若年層は基本的な金融知識(請求書の見方など)の理解力に欠けていることなども判明している。

連邦準備銀行のシステムを通して保管された膨大なデータから実例を分析した結果、「人種や年齢は、個人の選択や振る舞いを上回る強い影響力を持っているのかも知れない」と、調査機関は結論づけている。