Office
(写真=PIXTA)

2015年夏ごろから首都圏でマンションの空室率が急速に悪化している。当時の空室率は30%程度だったが、2015年1月からの相続税の基礎控除額引き下げにともない、地主層のアパートの建設需要が盛り上がり、空室率が急速に上昇したことがうかがえる。

日本の総人口はすでに減少局面に入っており、需給関係でいえば供給過多が続く状況といえる。不動産投資の物件はアパートやマンション、オフィスなどざまざまだが、オーナーはどのような物件を選択すればいいのだろうか。

空室率が進む住居物件

不動産投資というと、マンション(住居)が代表的な収益不動産として挙がる。しかし、昨今首都圏のアパートの空室率が上昇傾向を促す内容の新聞記事が掲載された。(2016年6月1日付日本経済新聞)

この記事によると、3月の神奈川県の空室率は35.54%と、2004年に調査を始めて以来、初めて35%台に上昇している。また、東京23区は33.68%、千葉県は34.12%と、空室率の適正水準とされる30%を3~5ポイントほど上回っている。一方埼玉県は30.90%、23区は31.44%と比較的安定した水準を維持しているという。このように、同じ東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)であっても立地に難があると、入居者を確保するのが厳しい状況のようだ。

賃料の上昇続くオフィス物件

その一方で、同日の日本経済新聞に、オフィス賃料の上昇についての記事が掲載された。

その内容は、英不動産コンサルティング大手「ナイト・フランク」がまとめた調査によると、東京の1~3月期のオフィス賃料は2015年10~12月期に比べて3.4%上昇し、東京のオフィス賃料の上昇率がアジアの主要19都市で最高となったというものだ。企業収益の改善に伴う投資意欲の拡大を受け空室率が低水準で推移し、オフィス需給の引き締まりが鮮明になったことが背景にあるとしている。

東京のオフィス賃料は前年同期比でも9.1%上昇しており、上昇基調が明確になっている。ナイト・フランクは「向こう1年も上昇を保つ」と予測している。