7月10日に投開票が行われた参院選で与党が圧勝したという事実に、欧米メディアは様々な反応を見せている。おおむね「成功と失敗が半々」と受けとめられていたアベノミクスの継続を、日本の国民が支持した今、安倍政権がより具体的な成果を世間に示す時期にさしかかったという見方が強い。
その一方で、経済政策と同等、あるいはそれ以上に注目されていたのは、平和憲法の改正と軍事力強化の可能性だ。
「国民にはほかの選択肢が与えられていなかった」
欧米では「さらに外的圧力のかかったアベノミクスの行方を見届けてみたい」「日本がどこまでやれるのか確かめてみたい」という関心が高い反面、今回の結果は少々意外だったようだ。
これまで日本国民の安倍政権に対する不満感や不信感が報じられていたため、多くの国民がそうした感情を押し殺して安倍政権の継続を願っている現状が、海外では理解しがたいものだと思われる。
「この道を力強く前に進んでいく」というスローガンを掲げた選挙戦で、「失敗はしていないが、道半ばだ」と自らの政策を貫く意思を明らかにした安倍首相だが、その政策がこれまであげた成果に対して疑問を唱える声は多い。
米ニューヨークタイムズ紙は一例として、アベノミクスの成果の一部とされている雇用増加や時給上昇が、「ほとんどがアルバイトやパートなどの非正規社員だ」と、現段階での短期的、かつ実質的な達成に関して懐疑心をあらわにしている。
雇用政策が段階を追って成果をあげる意図(非正規の雇用を増やし、徐々に正規雇用の増加につかげるなど)であることを、支持している報道は今のところ見かけない。
それゆえに議員選の結果についても、「国民にはほかの選択肢が与えられていなかった」と見ており、テンプル大学ジャパンのジェフ・キングストン教授の「国民は対決法案に不満を抱えているが、参院選自体に意味を見いだしていない」というコメントを掲載した。
与党圧勝後も総体的にアベノミクスの志半ばといった印象はぬぐえず、安倍首相が主張する「力強い政策」が今後どのように具体的に進められるのか、「経済下支えを強化するために、より効果的な景気浮揚策が必須」という反応が多い。