経営再建中のシャープに久々の明るいニュースがありました。2014年1月~3月期において、世界の太陽光パネル出荷量世界一位を奪還しました。シャープは1963年から2008年までの45年間にわたって太陽電池業界ではトップの座に君臨していましたが、その後、中国メーカーやアメリカメーカーにその座を奪われていました。液晶パネルでの過大投資がまだ引きずっている状況ですが、太陽電池は想定以上に改善しています。
吉永小百合を起用してのテレビCM、IGZOというブランド展開などで、家電メーカーでも一目置く存在だったシャープですが、亀山工場をはじめとする過大投資で財務体質はまだまだ改善途上です。株式市場では、ピーク時には2,600円も一時200円を割り、倒産しても不思議はない状況となっておりました。1,400億円の増資で切り抜けたものの、自己資本比率は8.9%(2013年3月期)とまだまだ低空飛行を続けています。絶好調の太陽電池に期待がかかるとこですが、太陽光発電システムの勢いはいつまでも続きそうにありません。 太陽光発電の急拡大は国の政策によるところが大きいからです。
その国の政策が転換期にあります。平成26年3月31日で住宅に太陽光発電システムを設置した際に国からもらえる補助金額がなくなりました。今では一部の都道府県、市区町村で行っているのみです。また、買い取り価格も年々下がっています。平成26年度における太陽光発電の買取価格は10kW以上で32円/kW(前年度は36円/kW)、10kW未満で37円kW(前年度38円/kW)となりました。太陽光発電偏重の買取価格が今後も見直される可能性は大いにあります。そのような中、シャープが市場の需要をうまく読み取れることができるかどうかという点が重要になってきます。
ただ、シャープもすでに太陽電池に関する経営方針を変えており、以前はセルからモジュールまで自社生産していたものを、セルは外部調達に切り替え、モジュール販売に力を入れる体制に変えてきています。この戦略変更がうまく機能するかどうかが今後のシャープ再建のカギになるとも言えるのではないでしょうか。
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