不動産投資を行うには、個人が不動産を購入して賃貸物件を所有する方法と、法人を設立して不動産賃貸業という「事業」として行う方法があります。副業が禁止されている会社で働いている人の場合、働きながら不動産投資や不動産賃貸業を行うのは無理だとあきらめている人がいるかもしれません。
また、マイナンバー制度が導入されたことで、「マイナンバーで、自分が副業をしていることが会社にバレてしまう」というような話を聞いた人もいるのではないでしょうか。実際、副業禁止の会社で不動産投資や不動産賃貸業を行うことは可能なのでしょうか。
不動産投資は「副業」とみなしにくく、禁止規定に抵触しないケースが多い
そもそも、不動産投資や不動産賃貸業が副業にあたるのかどうかは、各会社の就業規則によって異なります。副業禁止の会社の中には、アルバイトなどの明らかな「労働」は副業とみなすが、不動産投資は「労働」ではなく、あくまで「投資」であり副業には当たらないとする場合もあります。
また、居住用に購入した不動産が、何らかの理由でそこへ住めなくなり賃貸に出すというケースや、両親の不動産を相続するケースなどもあるでしょう。こうした場合、社員が不動産から家賃収入を得ていることが、果たして「副業」に当たるのかどうか、会社側としても判断しにくい面があります。
不動産投資自体は副業に当たらなくても、不動産賃貸業を行うことは禁止している会社や、株式投資などを含む投資そのものが禁止されている会社(金融機関など)もあります。いずれにせよ、所属先の会社で禁止されている「副業」の定義は事前に確認しておく必要があります。ちなみに国家公務員は、一定規模以下の範囲で不動産投資を行う場合、副業にはあたらないとされています。
「人事院規則14-8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」によると、所有する不動産が家屋なら5棟未満、マンション等の建物なら10室未満の場合には、その賃貸は副業とみなされません。これを超える場合、あるいは家賃収入が年間500万円以上となる場合は、副業とみなされるため注意が必要です。
なお、基本的には民間企業の会社員よりも、公務員の方が雇用環境は安定していると見られるため、融資を受ける際の審査では高く評価されて、金融機関から融資を受けやすいと言えます。
マイナンバーで不動産投資が会社にバレることはない
2016年1月からマイナンバー制度が施行されました。これを受けて、「マイナンバーが原因で、副業がバレてしまうのでは?」と心配する人がいるかもしれませんが、現時点では、不動産の購入時や売却時に、自分のマイナンバーを記載する必要はありません。しかし、所有する不動産を個人ではなく法人に貸し出している場合は、賃借する法人が提出する「不動産の使用料等の支払調書」に、不動産オーナーのマイナンバーを記載します。
今後、個人の不動産購入や売却の際に、マイナンバーの記載が義務付けられる可能性がありますが、そもそもマイナンバーは、行政手続きを簡略化するために導入されたものであり、不動産の購入などで書類にマイナンバーを記載したとしても、そのことについて会社に知られることはないでしょう。