年間キャッシュフローを理解する

年間のキャッシュフローを理解する上で大事な要素に、ローンの返済・減価償却費・所得税の3つがあります。

1. ローンの返済

ローンの返済方法には「元金均等返済方式」と「元利均等返済方式」の2つがあります。元金均等返済方式は元金の返済金額が毎月同じで、利息の返済金額が毎月異なる形式です。一方、元利均等返済方式は月々の返済額(元金と利息を合わせた金額)が毎月同じ金額になる形式です。通常のローンは元利均等返済方式が取られることが多いです。

返済金額の内訳は銀行が用意した「借入返済早見表」を参考にすると分かりやすいです。

2. 減価償却費

減価償却費とは、不動産の建物部分の経年による価値の減少に伴う費用です。所得税の計算上、必要経費として計上できる上に、現金の支払いを伴わないため、手持ちのキャッシュにプラスの影響を与えます。

減価償却費の計算方法には、建物の耐用年数の期間中、毎年同一額を減価償却する「定額法」と、毎年一定率を減価償却する「定率法」の2つがあります。通常、建物には定額法、建物以外の付属設備には定率法を採用します。
それぞれの計算式は以下の通りです。

・ 定額法:減価償却費=固定資産の取得価額   × 定額法の償却率
・ 定率法:減価償却費=固定資産の未償却残高 × 定率法の償却率

※償却率は、固定資産の耐用年数によって決定します。
※未償却残高とは、固定資産の取得価額から減価償却の累計額(取得してから保有時点までの合計)を差し引いた金額です。

3. 所得税

所得税は、不動産所得に対してかかる税金です。不動産所得は、不動産を賃貸して得られる家賃収入から、家賃収入を得るために必要な経費を差し引いて求めます。

不動産所得の金額を抑えるためには、必要経費をより多く計上することです。中でも節税効果が大きい必要経費は、前述したローン返済の利息と減価償却費です。また、管理費用や損害保険料なども必要経費になります。その他、支出を伴わない所得税の節税方法としては青色申告の特別控除があります。こうした方法を利用して所得税を減少させると、手元により多くのキャッシュを残すことができます。

年間のキャッシュフローは毎年同じではありません。諸経費やローン返済額、税金などは不動産賃貸を開始した初年度と2年目、3年目では異なり、その都度見直しも必要です。キャッシュフローの計算は毎月行いましょう。最近では市販のソフトを利用することで、簡単にキャッシュフローが計算できます。

まとめ

不動産の「利回り」は、家賃というキャッシュ・インフロー(入ってくるお金)のみに注目した指標であり、本質的な資金効率を示す指標とはいえません。一方、ROIは資金の流出も考慮した手元に残るキャッシュの投下した資金に対する割合であり、より実質的な資金効率を示す指標と言えます。

なお、借入が多いほど投下した資金(自己資金)は小さくなり、ROIは向上ことになりますが、ROIを上げるために借入を増やすのは本末転倒です。あくまでも手元に残るキャッシュを増やすことで、ROIの向上を目指すのが賢明でしょう。(提供: 不動産投資ジャーナル

【関連記事 不動産投資ジャーナル】
平成28年度税制改正で規制が入る「不動産投資に関する消費税還付」とは?
日銀のマイナス金利が不動産投資に与える影響とは?
不動産投資の成否のカギは対象エリアでの賃料相場の把握
規制緩和でAirbnbでの空室運用が実現!?高稼働率の実現も夢ではない
ROIを自分で計算できるようになりましょう! 不動産投資の重要指標