不動産投資,税制改正
(写真=PIXTA)

2016年度税制改正の一番の焦点は、2017年4月に実施予定である消費税率10%への引き上げにともなう軽減税率の導入について、どこまでを軽減税率の対象品目とするかにありました。

また日本経済をより確実なものとするために、2015年度に引き続き成長志向の法人税改革を推進し、法人実効税率を20%台に引き下げることにもなりました。

一方で、ビール類の酒税一本化や、所得税の配偶者控除の見直しについては、2017年度以降となりました。そのほか、三世代同居に対応した住宅リフォームに係る税額控除の導入や、個人の寄付税制の包括的な見直し、自己の健康管理を進めるセルフメディケーションを後押しするためのスイッチOTC薬控除(医療費控除の特例)の導入があります。また、地方法人課税の偏在是正や地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の創設、住みよい環境確保のための空き家を売却した際の譲渡所得の特別控除、グローバルなビジネスモデルに適合した国際課税ルールの再構築――などが行われています。

今後の不動産投資に影響する点

それでは今回の税制改正大綱のうち、不動産取引に影響がありそうな項目を6点確認しましょう。

◎1. 空き家の譲渡所得について3000万円を特別控除する措置の創設

空き家が放置され、周辺の生活環境への悪影響を未然に防ぐ観点から、空き家の最大の要因である「相続」による古い空き家の有効活用を促進し、空き家の発生を抑制するための新たな制度が創設されました。

具体的には、相続により生じた古い空き家(マンションを除く)やその敷地について、相続開始時から3年以内の取壊しや耐震リフォームをして売却をした場合、譲渡所得から3000万円を控除することができます。

ただ旧耐震基準の家屋であること、亡くなった方が一人で住んでいたこと、売却額は1億円を超えないことなど、全ての空き家に適用されるわけではなく一定の要件があるため、事前に確認が必要です。

◎2. 三世代同居に対応した住宅リフォームを行う場合の特例措置の創設

世代間の助け合いによる子育てを支援する観点から、三世代同居に対応した住宅リフォームに関し、借入金を利用してリフォームを行った場合や自己資金でリフォームを行った場合に、工事目的の借入金などの年末残高に応じて、1000万円以下の部分について一定割合を乗じた金額を、5年間の各年で所得税額から控除できることとなりました。

◎3. 減価償却制度の見直し(建物附属設備、構築物の償却方法を定額法に一本化)

減価償却について、2016年4月1日以降に取得する「建物附属設備」と「構築物」について、定率法が廃止され、償却方法が定額法に一本化されます。

取得当初の節税メリットが大きい定率法が廃止されることで、不動産融資を受ける際に定率法でシミュレーションをしていた新築計画や設備投資計画は見直しが必要になります。