20年以上、米国で投資、金融の事情を見てきた吉永 高士氏(NRIアメリカ金融研究室長)。アメリカのIFA(インディペンデント ファイナンシャル アドバイザー)制度についても詳しい吉永氏が、仕組みと状況を解説します。
IFA一人が抱える預かり資産規模は平均24億円ほど
アメリカの証券マンは60万人くらいいて、そのうち31万人くらいがリテールです。これは、外務員資格の免許を持っているだけでなく、実際にお客さまを持って営業している人の数です。
アメリカではアドバイザーの雇用形態はもともと従業員であるケースが過半を占めており、例えば、メリルリンチのような日本では大手証券会社に相当するところはみんな従業員です。31万人のうち、約7万5000人がIBD(インディペンデント・ブローカー・ディーラー)という証券会社に属するアドバイザーで、日本でいうIFAに相当するIC(インディペンデント・コントラクター)と呼ばれる人です。ICは、販売する金融商品の取引を契約している証券会社とは雇用関係を持たない第三者のアドバイザーです。
預かり資産はIC全体でおよそ230兆円です。一人当たりの営業員が抱えている資産規模は、大手証券では150億円程ですが、これに対してIFAは平均で30億円程のイメージです。
大きな証券会社の正社員はIFAと比べると5倍くらいの預かりを持っているわけです。つまり手数料収入も5倍くらい異なるので、ICが投資商品販売チャネルを席巻しているというワケではありません。
ICがいかに良いものかという点については後ほど触れますが、私の理解ではいろんなタイプの営業マンがいて、お客さまもいろいろなタイプがいます。対面チャネルがそれぞれあることによって、投資家のすそ野も広がるのです。