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(写真=Thinkstock/Getty Images)

「世界的に不安定な経済状況にもかかわらず、米国は力強い成長を見せている。中でも不動産セクターは力強く、注目度は上がっている」――。コーヘン&スティアーズ・キャピタル・マネージメント (COHEN&STEERS )のバイス・プレジデント、トーマス・ボジャリアン氏は7月14日、同社日本支社で開かれた講演会でそう語った。

堅調な米国経済、注目は不動産

相次ぐテロ、Brexitなど株式市場を揺るがす話題に事欠かなかった2016年上半期。その中で、米国経済は過去と比べて、足元の景気サイクルはしっかりした成長だった。バブルでもなく、そうかと言って鈍化しているわけでもない。雇用統計も順調に伸びているなど堅調だ。

中でも、不動産市場はバランスが取れており、緩やかな成長が続くと見ている。強い需要がある一方、供給は大きく増えず限られているため、成長は急激なものにはならない、と同氏は語る。

不動産市場の全セクターに共通しているのが、不動産所有者にとっての2つのオプションの動向だ。

強い需要の中で、1つは稼働率をあげられること、もう1つは賃料をあげられることだ。どちらも引き上げの圧力をかけやすい状況なので、今後2〜3年はキャッシュフローの安定的な成長が見込めるという。もちろん、物件によってリース期間は異なるが、同様の傾向が見られるという。

稼働率9割……キャッシュフローも分配金も増加?

同氏いわく、稼働率にばらつきはあるが、通常7割ほどのところが9割前後まで上がっている。米国REITは基本的に米国内の物件に投資しているので、海外の影響は受けにくい。海外の影響があるものを挙げるならば、為替によって観光客の増減がある「ホテル」セクターだが、それでも稼働率は9割近い。

最も稼働率が高いのは物流施設だ。次いでアパートや高級モールである。95〜97%ほどと高い。対局にあるのが、郊外のオフィスである。こちらも88%ほどと決して低くはないが、全体があまりに高い稼働率なので、低く感じるのである。この背景には、日本と同じく米国でも起こっている、オフィスの中心地一極集中がある。中心地の人気が高いのは、若者の都会への憧れが色濃く反映されているからだ。

同氏は、今後数年で年平均6〜8%のキャッシュフローの増加が起こると、強く確信しているという。その理由は賃料と稼働率が上昇している一方で、REIT発行にかかる経費などが増えていないからだ。そのため、キャッシュフローの増加が起こるという。この現象は、投資家への分配に直結するというから見逃せない。REITでは、課税収入の大半を分配しなくてはならないため、キャッシュフローの上昇と同じくらい分配も増えるというわけだ。