低金利が後押しするバランスシートの健全化

このほか、不動産と切っても切り離せないのが、金利の動向である。雇用統計の結果は良かったが、2016年内の利上げの可能性は低いと同氏は見ている。周辺諸国が低金利だという状況を考えても、早くて2017年前半と見ている。低金利の継続は、バランスシートを健全化する後押しとなるだろう。低金利はローンの借換えを後押しするからである。

金利が低い環境の中で、投資家が高利回りの投資対象を求める動きが、顕著になっている。投資家の間で人気なのがヘルスケアとネットリースだ。ヘルスケアは、高い成長は見込めないものの、高インカムが見込めるところが人気である。ネットリースは、郊外の単独小売店舗などを単体で営業している店に投資をする。日本ではあまり馴染みがないが、米国ではポピュラーなセクターで、リース期間が長いのが特徴だ。

これらのセクターは、資金は投入されているものの、純資産倍率が非常に高い水準にあるので、バリューがあるとは言いづらいと見ているそうだ。同社が注目するのはアパート・集合住宅など、純資産よりもディスカウントされて取引されているセクターだ。標準以上のバリューを持ちながら、標準以下の価格で取引されているという。

不動産セクター独立で、中長期で10兆円の資金流入?

今後不動産市場に大きな影響をあたえるものとして、グローバル産業分類区分の変更がある。今まで、S&Pの中で2番目に大きな割合を占めていた金融セクターから、不動産が独立し11番目のセクターとして独立するのだ。

この変更によって、時価総額100兆円の米国REITに、10兆円規模の資金流入が起こるのではないかと同社では見ている。資産クラスに特化せずに、株や債券などにも投資するゼネラリスト会社では、総じてREITへの投資比率は低かった。だが、分類区分の変更で、投資比率の引き上げに迫られるため、中長期ながら資金の流入が見込めるのだ。

金融セクターに引っ張られ、不動産もボラティリティが大きいものだとみなされてきたが、認識が変わる可能性がある。不動産セクターの登場によって、上場したいと考える会社は増えるだろうともボジャリアン氏は語った。

注目が集まり、既に高い水準にある米国REIT。だが、中長期で投資をするには面白いセクターと言えるだろう。ポートフォリオを考えつつ、少し加えてみてもいいかもしれない。(ZUU online編集部)

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