英国EU離脱の余波がいまだに収まらない。実質的にまだ2年あるにもかかわらず、離脱決定直後はポンドおよび銀行株に売りが殺到し、いまだに安定の兆しは見えていない。

混乱が英国内のみならずEU全体を覆う中、それに翻弄されながらも立ち向かおうとする若者たちがいる。「3つのE」を駆使して20代の若者たちだ。

荒波に飲み込まれる若者たち

彼・彼女らは、格安航空会社「EasyJet」でやすやすと国境を越え、「European Union」圏28カ国での国際交流を目的とした交換留学制度「Erasmus」を活用して大学を卒業している。

国籍を持つ国で生まれ育ち、別の国に留学して教育を受け、さらに第3の国で仕事を見つけて暮らすことは、ごく自然なライフスタイルである。そこで培った人脈と世界を股にかけた行動力が、彼らの力の源泉であったのだ。

しかし、英国がEUを離脱するとなれば、彼らの最大の強みに暗雲が立ち込めることになる。International NewYork Timesの記事によれば、パリの大学で科学を専攻しながら同時にスウェーデンとドイツの大学でも学んだ26歳のフランス人男性は不安を打ち明けている。

EUの一員だった英国が自国だけで我が道を行こうとするならば、グローバルな活動をしてきた若者たちがこれまで享受してきたトップクラスの教育と多様な欧州世界へとつながる扉が閉じられてしまう可能性が大きい。それはすなわち、欧州統一市場における映像・音楽・通信分野からも締め出されることを意味するのだ。

また、彼の友人でロンドンの食料品通販サイト運営会社に勤める24歳の女性は、同じ記事でこのように話している。「私が欧州に暮らす人間として一番強く感じるのは、運命共同体意識です。具体的に言えばそれは私たち全員が当事者意識を共有するということであり、EUを通して共に利益を分かち合うということなのです」