土地の相続税や贈与税を決める際に参考にされる「路線価」。国税庁が7月上旬に、2016年分(1月1日時点)を発表し、全国平均が前年比で0.2%上昇したことを明らかにした。路線価が前年比で上昇するのは、リーマン・ショック前の2008年以来、8年ぶりとなり、堅調に推移する不動産市況を反映したものと言えそうだ。

昨今の不動産投資は、20年に東京オリンピック・パラリンピックを控えた都心の再開発や金融緩和の下支えを受けてきた。ほかにも、好調な訪日外国人観光客(インバウンド)の増加などの恩恵を受けた地域で上昇幅が拡大した。

2016年の路線価上昇率トップは東京で「2.9%」の上昇

公表された2016年の路線価を見てみよう。まずは明るい側面、高い路線価を示したのは、どの地域だろうか。ちなみに最も高い路線価を示したのは「銀座」で、最も高い上昇率を示した都道府県は「東京都」となっており、さらに詳細を以下で見ていく。

最高の路線価をつけた銀座。特に、中央区銀座5丁目銀座中央通りが路線価でもトップを獲得し、1平方メートル当たりの評価額は3,200万円と前年から18.7%上昇した。同地区は訪日外国人観光客のショッピングで賑わいを見せる一画で、全国で最も高い路線価をキープした格好だ。

一方で、路線価の上昇率ではどうだろうか。都道府県で言えば「東京都」が最も高い上昇率を示し、2.9%の上昇となった。東京五輪の開催に向けて、JR品川駅 (港区) から北約1キロの地点に山手線の新駅が誕生する予定で、交通の利便性のアップを受け、ホテルも相次いでオープンするなど、同地点の路線価が前年比で12.9%の上昇となった。

東京一極集中に押され気味だった大阪府でも、中国人観光客に代表される爆買いなどインバウンドの恩恵を受けた地点の路線価が軒並み上昇。多くの観光客が買い物やグルメを楽しむ心斎橋筋(大阪市中央区)では、路線が前年比39.6%と大幅アップ。さらに、高級ブランド店が立ち並ぶ御堂筋(大阪市北区)も22.1%の上げ幅を記録し、三大都市圏の愛知県も平均変動率が1.5%増と手堅く2年連続の上昇となった。