2016年中期の世界不動産価格指数が発表され、日本は90カ国中30番目に「住宅価格対所得比(PIR)が高い国」であることが判明した。アジア諸国では32カ国中、16番目とちょうど中間に位置する。

最も「マイホームが実現しにくい国」は香港。次いでベトナム、シリア、ウクライナ、中国など。上位20カ国のうち、12カ国をアジアが独占している。比較的簡単に住宅が購入可能な国は、サウジアラビア、南アフリカ、米国だ。

このデータは米市場調査会社、NUMBEOが、各国の平均的な住宅価格と平均的な可処分所得を照らし合わせ、順位づけしたものである。

不動産価格高騰の原因は国によって異なる

かつては標準的な人生設計の一部とされていた「所帯を持ったら住宅購入」が、今や少数派の特権化しつつある。

先進国、新興国問わず、住宅価格は年々上昇傾向にあり、人口増加とともに住宅不足が深刻化している国も多数ある。

日本は戦後の大規模な新築住宅建設以降、常に量的確保に力点をおいた住宅政策が功を成し、米英のような「住宅不足による不動産価格の高騰」ではなく、住宅価格自体の高コスト(素地価格、宅地開発費、建設費)構造が、高騰に起因するといわれている。

近隣国の中国では、北京などの大都市以外は所得も非常に低く、貧富の差が激しいため、一般庶民が住宅を購入するのが困難な状況だ。ベトナムでは富裕層による投機目的の土地転売が、原因として挙げられている。

このように住宅価格高騰の要因は、各国ごとに差異が生じる。

「住宅ローンを所得が占める割合」を見てみると、日本は77.66%で58番目。最も住宅ローンが家計を圧迫しているウクライナとベラルーシでは、ともに所得の600%というから驚きだ。香港、中国、インドネシアなどは200%強。

こうした背景を考慮にいれると、日本は比較的「頑張ればマイホームが手に入る国」といえるのではないだろうか。