石川県
(写真=PIXTA)

丈夫で美しい漆器「輪島塗」を継承する石川県の高い文化意識

石川県は日本海に面して細長く伸びる県で、能登半島が突き出しているのが特徴です。江戸時代までは、加賀国と能登国の2つの国で、それぞれに豊かな文化を築いており、今もしっかりと継承されています。江戸時代には「加賀百万石」といわれ、その城下町であった金沢は、江戸・大阪・京都に次ぐ人口規模を誇っていました。その風景は今でも長町武家屋敷群として大切に保存されており、当時の歴史や文化に触れることができます。また日本三名園の一つである兼六園や能登半島国定公園、越前加賀海岸国定公園、白山国立公園といった風光明媚な観光名所も多くあります。

日本の漆器の代表ともいわれる輪島塗は、木に生漆と米糊を何重にも重ねて補強するなど、手をかけて作る丈夫な漆器として今でも重用されています。輪島塗の起源は明確になっていないものの、室町時代にはその原型があったという説もあり、長い歴史の中で培った技術とこだわりが完成させた日本を代表する工芸品といえます。

石川県には他にも、加賀地方の九谷焼や加賀友禅、金沢漆器、大樋焼(茶道具)など、芸術性が高く世界でも注目される伝統工芸が多く残っています。これは石川県が築いてきた、芸術品を生み出す高い文化レベルが背景にあることの証明でもあります。

栄養豊かな日本海で育つ美味しい海産物

石川県は、日本海に面する地形であることから、質の高い海産物が多く収穫されることで知られています。特に能登半島は特殊な形状なため、断崖や岩礁による荒々しい能登外浦と、波の静かな能登内浦という対照的な海を持ち、それぞれの環境で生きる天然の海産物を活かした食文化があります。

●甘くて身が詰まった石川県のブランドガニ「加能ガニ」
加能ガニは、栄養豊富な日本海で育つため身が詰まり、しっかりした甘みがあるのが特徴の石川県のブランドガニです。初冬の風物詩として広く愛されています。

●加賀おでんに欠かせない「香箱ガニ」

石川県1
(写真=PIXTA)

ズワイガニのメスで小ぶりですが、カニみそと卵が絶品といわれほとんどを県内で消費しています。味が濃厚なためカニ鍋の具としても活用されるほか、加賀おでんでは『かに面』といわれる、香箱ガニの身を外してから殻に身や内子やミソを詰めたネタがあります。これを目当てに石川県を訪れる人もいるほどです。

●荒々しい波にもまれることでおいしくなる「サザエ」や「アワビ」
輪島は国内最多の海女がいる地域で、今でも10~70代の200名の海女が素潜りでサザエやアワビを採っています。栄養豊富な海水で育ったワカメや昆布を食べて育つため、味が濃厚で身が厚く、しっかりとした歯ごたえがあります。

●今風にアレンジされた郷土料理の代表、押し寿司
昔から金沢では、お祭りや親族の集まりの際に、押し寿司を食べる文化がありました。それを今風にアレンジしたものが郷土料理として愛されています。海産物を使用し、一人前ずつ笹の葉や柿の葉で包んだものが特に人気で、県内各地で販売されています。

●金沢では、蒲焼きといえば「どじょう」
海の幸ではありませんが、どじょうも有名なもののひとつです。金沢市や近郊では、土用の丑の日にもどじょうの蒲焼きを選ぶ人が多く、骨も卵もそのまま串刺しにし、金沢の大野醤油を使ったタレで甘辛く仕上げているのが特徴です。

●古くから金沢で愛されている「ごりの佃煮」
ハゼ科の淡水魚を佃煮にしたもので、金沢を中心に人気の料理です。参勤交代で知った佃煮を、金沢で多く採れていたごりを使って再現したのが起源だと言われています。ごりは他にも唐揚げや汁物に活用される一般的な食材です。

●そのままでも、手を加えても美味しい「コンカイワシ」
漁獲量が多いのに、早く悪くなってしまうイワシを保存するために生まれた「コンカイワシ」は、イワシを塩漬けにして糠床に保存したものです。糠を落としてそのまま食べたり、焼いて食べたりします。味が濃縮され、まろやかな旨味が特徴です。このコンカイワシを使った料理は、能登地方の「ベカ鍋」や白山地方の「イジイジ鍋」、さらにホタテ貝の殻を使った「コンカイワシの貝焼き」等もあります。

石川県の海の幸を紹介しましたが、今まで知らなかった食材もあるのではないでしょうか。地元ならではの海の幸を石川で味わうことで、石川の新たな魅力を発見することができるかもしれません。(提供: nezas

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