マーケットや個別銘柄の情報集めに、SNSを活用することはすでに当たり前になっている。だが、米国のSNSの投資への活用法は一歩先を行っている。ETFのポートフォリオを決めるために使われているのだ。SNSに投稿されたさまざまな情報を元にしたビッグデータの中から、銘柄を自動的にピックアップし、運用する「SNS連動型ETF」が登場している。

AIがネット社会の声を反映させETFを選定

「SNS連動型ETF」で代表的なのは、2016年4月18日に設定された「Sprott Buzz Social Media Insights ETF」だ。ティッカーは「BUZ」。

7月18日の引け値で24.90ドルと、1口買うのに3000円もかからない。運用総資産は468万ドル(約4.9億円)。運用対象銘柄は、時価総額50億ドル以上の大型株全般で、小型株は対象にしていない。

SNS連動型ETFの最大の特徴は、銘柄選択にアナリストやファンドマネージャーといった投資や運用のプロの人間の意見を介さないことだ。SNSのビッグデータをAI(人工知能)やアルゴリズムで分析して、銘柄をコンピュータで選択する。

個人の銘柄選択力よりも、インターネット上の多数人々を指す「群衆(クラウド)」の銘柄選択力に注目しているのだ。ネット上のニュースやSNSでツイートされた件数、話題やコメントや反響の多い銘柄、そのコメントがポジティブなのかネガティブかなども読み取り、ネット社会が強気にみている25銘柄を選定する。

同ETFのポートフォリオのコア10銘柄を見てみると、現在のファンドのコアは、Googleの親会社Alphabet、Apple、Walt Disneyなどである。トップピックを見る限り、通常の米国のファンドのコア銘柄とあまり変わらない。

「人気投票」ETFは知名度が高い銘柄へ投資

ミスコンや出会い系アプリのようなETFも登場している。「クラウドインベスト」というアプリで、個人投資家に米株の個別銘柄に対する、強気・弱気を投票してもらう。完全な人気投票で、仕組みは出会い系アプリなどと変わらない。投票の理由は問わず、センチメント指数で選ばれる大型株を毎月見直しながら、35銘柄に投資するファンドだ。

このファンドの設定日は2016年4月25日で、6月20日に上場したばかりだ。ティッカーは「WIZE」。運用総資産は248万ドル(約2.6億円)とまだ小さい。7月18日は25.65ドルで、こちらも3000円もせずに買い付けできる。

現在このファンドの保有銘柄をみると、商業REITのゼネラル・グロース・プロパティーズ、税務申告代理サービスのH&Rブロック、ソフトウェア大手のOracleがトップ3。その他、ベスト10に、投資銀行のモルガン・スタンレーやバンク・オブ・アメリカ、THE NORTH FACEなどを傘下にもつアウトドア用品のVFコープ、薬品のアラガン、レストラン系でレッドロブスター経営のダーデン・レストラン、ケンタッキー経営のヤム・ブランドなどが入っており、知名度の高い銘柄が多いようだ。